神経痛


どんな病気ですか?
神経の経路に沿って激痛が起こる
 末梢神経の経路に沿って激痛発作を神経痛とよんでいます。神経支配に関係なく現れる痛みは、
漠然と用いられることが多い病名ですが、医学的にはいくつかの特徴が見られる場合だけを
神経痛と定義しています。まず、鋭く激しい痛みが突然、特定の末梢神経の支配領域に生じます。
神経痛の痛みの発作は1回につき数秒から数分間で終わることが多く、無症状の時間をはさんで
繰り返し現れます。
 さらに、痛みが起こる末梢神経の支配領域に刺激を加えると、痛みを誘発する圧痛点とよばれる
ポイントが認められます。また、咳やくしゃみをしたときなどに痛みが引き起こされることがあります。
からだを曲げるといった、ある決まった姿勢をとると痛みが起こる場合もあります。
 主な神経痛としては、三叉神経痛、舌咽神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛があります。
三叉神経痛や舌咽神経痛などの支配領域に痛みが現れるため、各神経の名前がつけられています。

分類
症候性と特発性に分けられる
 神経痛は、特発性神経痛と症候性神経痛に分けられます。
特発性神経痛は、原因となる病名が判明せず、神経痛が病名としてつけられる場合です。
知覚や筋肉の運動、反射といった末梢神経の機能を調べる神経学的な検査をしても、
痛み以外の症状はみられません。
 かつては、背骨にある病気がなかなか突き止められず、ほとんどの神経痛が特発性神経痛として
扱われていました。しかし、診断技術の進歩に伴い、神経痛の多くに原因となる病気があることが
判明してきました。
 症候性神経痛は、診断や検査によって神経痛の背景にある病気が明らかになり、その一症状として
痛みが現れる場合です。腫瘍、炎症、外傷、骨の変形など、何らかの病気が末梢神経を刺激して、
痛みが起こっています。神経学的な検査をすると、痛みのほかにも、ふるえ、しびれ、筋肉の萎縮といった
神経症状がみられることもあります。
 三叉神経と舌咽神経痛には、それぞれ特発性と症候性の2タイプがみられ、肋間神経痛と
坐骨神経痛は症候性タイプがほとんどとされています。しかし、症状だけでは症候性と特発性を
見分けることが困難なため、判別には詳しい検査をする必要があります。
 症候性神経痛と特発性神経痛に分類するのは、治療の方法が違うからです。
症候性の場合には、原因となる病気の根本的な治療が開始され、並行して痛みを抑える
対症的な治療が行われます。
特発性であれば、最初から痛みを取り除くための治療が実施されます。
 ただし、原因となる病気が治っても、神経痛が後遺症として残ってしまった場合には、
特発性神経痛として扱われることになります。

症状
激しい痛みの発作を繰り返す
 各神経に共通する症状は、発作性、反復性の痛みが現れることです。症候性神経痛と
特発性神経痛に分類されても痛みには殆ど違いはありません。
三叉神経、舌咽神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛にはそれぞれ次のような特徴があります。
・顔面の片側が痛む三叉神経痛
 三叉神経痛は50〜60代に多くみられます。患者数をみると、女性が男性の1,5倍〜2倍にのぼります。
三叉神経は顔面の両側に分布し、第1枝の眼神経、第2枝の上顎神経、第3枝の下顎神経に
枝分かれしています。三叉神経の多くは第2枝か第3枝に沿って、顔面の片側だけに起こります。
特に、右側に起こる場合が多いようです。
 痛みは激烈で、ナイフで切られたような鋭い痛み、焼けるような痛みと表現する人もいます。
発作は急に現れ、数秒から数十秒間続くと、突然治ります。
 発作の頻度は、最初のうちは1日1回程度です。しばらく続いた後、数ヶ月か数年間、痛みがまったく
消えることもありますが、次第に発作の間隔が短くなり、痛みも強まってきます。
 圧痛点は人によって違いますが、鼻や唇を中心に、唇の端、鼻腔の横、鼻の下の溝である鼻唇溝、
ほお、歯肉や舌などにあり、触れると痛みの発作を招きます。クーラーの冷気があたっただけで
痛むこともあり、会話、あくび、洗眼、ひげそり、歯磨きなどでも、痛みが誘発されます。
また、食べ物を噛んだり、飲み込んだりしたときにも痛みが起こるので、日常生活に支障をきたす
場合も多くあります。目を動かしたり、何かにちょっとつまづいたりしただけで痛みが起こる人もいます。
・咽頭部に激痛が走る舌咽神経痛
 舌咽神経は、脳の延髄から首を下行し、舌の奥に分布している神経です。舌咽神経痛の患者数は
比較的少なく、主な発症は年齢は30〜50代とされています。
 舌咽神経痛では、舌の奥にある咽頭や扁桃を中心として、片側だけに激しい痛みの発作が起こります。
痛みは耳の奥や後ろ、あご、首の上部まで広がります。
 痛みの性質は三叉神経痛と同様、刺すような激痛で、発作の続く時間は数秒間程度です。
痛みは食べ物を飲み込んだり、舌を動かしたり、あくびをした時などに誘発されます。
しゃべったり、咳をしたり、冷水や氷を口に含んだときに痛みが起こることもあります。
まれに、痛みの発作とともに、不整脈や失神、血圧の低下などを伴う場合があります。
・肋骨に沿って痛肋間神経痛
 肋間神経痛は、脊髄の胸随から出て肋骨に沿って走り、胸部や腹部に分布している
末梢神経です。肋間神経痛では、肋骨と肋骨の間や、おなかにある腹直筋のあたりに
圧痛点が存在し、肋間神経の支配領域に痛みが現れます。
 からだをひねったり、痛みのないほうにからだを曲げて肋間神経を伸ばすような姿勢をとると、
刺すような痛みが生じます。咳やくしゃみ、深呼吸などをしたときも、痛みが誘発されたり、
強まったりします。また、脊椎をたたくと、痛みが肋骨のあたりに響きます。
・足全体に痛みが走る坐骨神経痛
 坐骨神経は、人体で最長の末梢神経です。骨盤から太ももの後面、ふくらはぎを通り、
かかとや足の甲のあたりまで伸びています。
 痛みは、片側の坐骨神経に沿って生じます。足のしびれや知覚の低下、アキレス腱反射の
低下や消失のほか、歩行障害が現れることもあります。
また、あお向けの状態で足をのばしたまま上げようとすると、太ももの後面に激痛が走るため、
垂直になるまで上げることが出来ません。この症状をラセーグ微候といいます。
 咳やくしゃみをすると、痛みが足の下の方まで響き、からだを曲げると痛みが強まります。
坐骨神経痛があると、痛みを軽減させようとして、痛まない方の足に体重をかけるため、
からだを傾けた姿勢になるケースも多くみられます。


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