水虫
一般的なカビによる皮膚感染で、サラリーマンの4人に1人は感染しているといわれます。
薬を根気よく続けて完治しましょう。


どんな病気ですか?
カビの感染で起こる
 水虫は白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)が、からだに寄生して起こる感染症です。カビには、
食品に生えるカビやキッチン・風呂場につくカビなど、多くの種類があります。
その数は何十万種にも上るといわれます。そのなかで皮膚表面の角質層に寄生するカビは、
一括して皮膚糸状菌あるいは白癬菌とよばれています。白癬菌に感染して起こる疾患を白癬とよび、
主として足に起こる白癬が水虫です。白癬菌は、日本に8〜9種類ほど生息しています。
 日本の水虫患者は1950年代頃から増え続け、その総数は1500万人にも上るといわれています。
まさに”国民病”といってもよい状態です。

原因
靴と靴下によるむれが大きな要因
 白癬菌が、皮膚の一番表面の角質層に感染して起こす皮膚疾患を白癬といい、足に発生するものを俗に水虫といいます。
外陰部に感染した場合は「いんきんたむし」、手足以外の胴体、腕などに感染したものを「たむし」や「ぜにたむし」と呼びます。
頭に感染してできる皮膚疾患は「しらくも」とよびますが、原因となるのが白癬菌であることには変わりありません。
 水虫の原因の白癬菌はカビですから、高温多湿を好みます。特に暑く、ジメジメした日本の夏は、カビには絶好の
生息条件を備えていることになります。実際、梅雨時期になると白癬菌の活動は活発になって、水虫の症状に悩む
患者の数が増えます。反対に寒く乾燥した冬には症状は治まります。
 ただし、気密構造の建物が普及し、暖房で部屋が暖められているため、冬でも症状のでる人が増えています。
水虫は従来の「季節病」から「通年病」へと変わってきました。
 水虫は”文明病”ともいわれています。靴を履かなかった明治以前の日本の医学書には、水虫に相当する
皮膚疾患の記述はなかったといわれています。
 毎日、靴下と靴を履く生活が長くなると、足はいつも靴の中でむれている状態です。白癬菌にとって絶好の
生息環境となり、サラリーマンの4人に1人が水虫に感染している大きな原因になっています。
 仕事をもつ女性が増えて、オフィスで1日中窮屈なパンプスとストッキング姿で過ごすようになってから、
これまで男性に多かった水虫は女性にも増えており、5〜6人に1人は感染しているといわれています。
 1970年以前にはほとんどみられなかった、子どもの水虫も増えています。やはり女性の場合と同じで、
靴や靴下を履く機会が多くなったこと、スリッパを履くようになり、家族で水虫に感染する機会が増えたことが
原因と考えられます。さらに、犬や猫などのペットから感染する場合もあります。

感染の仕組み
皮膚の角質を栄養源に繁殖する
 皮膚は、人体の一番外側を覆っている一種の器官で、複雑な構造と働きをもっています。
その表面積は、身長160cm、体重50Kgの人で、役1.6u、畳一畳分に相当します。
 皮膚は大きく分けると一番外側の表皮、その下の真皮、更にその下にある皮下組織から構成されています。
一番外側の表皮は、さらに構造的にいくつかの層に分かれますが、最も深い部分にあるのが
基底層とよばれる組織です。
 基底層では細胞が盛んに分裂し、表面にある部分を外へ外へと押し出します。基底層で出来た細胞は
次第に外側へ押しやられ、最終的には最外層の角質層を形成します。
 角質層の主成分はケラチンという硬いたんぱく質ですが、これは死んだ細胞のため、やがて垢となって
剥がれ落ちていきます。
 角質層にあるケラチンは外敵から人体を守る防御の最前線の役割を担っていいるため、非常に強固な層を
作っています。白癬菌はそのケラチンを溶かケラチナーゼという酵素をもっていて、ケラチンを溶かして栄養にします。
そのため垢になった角質層には白癬菌が無数にいます。室内では裸足で歩くことが多いので、水虫に感染した人の
落とした垢についた白癬菌が足の裏の皮膚に付着し、感染することになります。
 水虫が足に多いのは、このように感染の機会が多いということだけでなく、足の指の間はむれやすく高温多湿
なうえに、足の裏はこの角質層が最も厚くケラチンも多いので、白癬菌にとって都合がよいからです。
 水虫を起こす白癬菌としては、現在十数種類がしられています。そのうち、日本でみられるのは8〜9種類と
いわれていますが、多いのは紅色菌と趾間菌の2種類で、全体の90%以上を占めています。
 白癬菌は、足の裏からはがれた垢の中に数週間から数ヶ月生きているといわれます。
最も感染源になりやすいのが、浴室やプールの足を拭くマットといわれますが、感染者がいる場合には、
畳の上やカーペットにも白癬菌は多数生息しています。
 要は足に白癬菌が付着し、繁殖するのに十分な温度と湿度があれば感染は起こり、増殖していきます。
ただし、白癬菌が足に付着したからといって、すぐに水虫になるわけではありません。水虫が発症するまでには、
一定の期間が必要で、その期間は人によっても違いますが、数日から1週間程度といわれています。

種類と症状
水虫の主な3タイプ
 水虫といえば、一般的に痒くて水ぶくれができ、じくじくすると思われていますが、そうした症状の
ものばかりとは限りません。これも水虫の一つのタイプではありますが、ほかにも小さな膿疱が出来るタイプ、
かゆみのないもの、乾燥したものなどさまざまです。
 足の水虫だけでも発症部位や症状によって、「趾間型」「小水疱型」「角質増殖型」の三つに分けられます。
・趾間型
 趾間とは「足の指の間」という意味で、ここに出来る水虫です。足の水虫の多くはここから発生します。
最初は小さな水ぶくれが数個でき、むずがゆくなり、やがて乾いて、ボロボロ皮がむけるようになると、
かゆみは消えていきます。
 ひどくなると皮膚は白くふやけ、ジクジクしてきて、それがむけると赤くただれてひりひり痛みます。
ときには趾間の皮が厚く硬くなって裂け、ひび割れが起こります。
 最も風通しが悪く、カビが生息しやすい小指と薬指との間にできることが多く、特に足の指が太く互いに
くいっているような人の足によくみられるようです。ただし、ほかの細菌でも同じような症状が発症することがあり、
外見では趾間型の水虫とほとんど区別がつきません。
 このタイプでは、水虫のうえにほかの細菌感染が加わり、ときには悪臭があったり、青みがかった分泌液を出して、
重症化していくケースが多いといわれています。
・小水疱型
 足の裏の、特に土踏まずや指、足のへりに小さな水ぶくれができます。多くは数ミリメートル程度ですが、
小さなものが集まって大きな塊になり、ときに1cm以上になることもあります。
 でき始めはかゆく、かくとかゆみがさらに強くなります。水ぶくれがつぶれると、少し粘り気のある透明な液が
出ますが、においはありません。やがて乾燥して乾燥してかさぶたとなったり、水ぶくれの膜が破れて
硬い輪が残ってしまうこともあります。
 夏に水虫を悪化させて、足が腫れ上がって病院へ駆け込む人は、ほとんどがこの小水疱型です。
カビに対する反応が強く出るため悪化しやすいタイプですが、薬にもよく反応し、治り易いという面もあります。
・角質増殖型
 このタイプは足の裏全体の皮膚が厚く、硬くなって、カサカサしているのが特徴です。
足の裏の一部だけなる人もいます。水虫の多くは夏になると悪化しますが、このタイプは、乾燥する冬に、
かかとがひび割れたり、あかぎれになったりと、ひどくなります。
 角質増殖型は、水ぶくれができるわけでもなければ、かゆみの痛みもないため、水虫ではなく、
単に足の裏の皮膚が硬くなったと思いがちです。水虫に感染、発症してまもなく、この病型になることはなく、
長年放置していた人や、高齢者に多く見られるのが特徴です。
・爪白癬
 皮膚の角質層が特殊に分化してできる爪の主成分はケラチンですから、爪も爪白癬という水虫になります。
一般にはいきなり爪の水虫になることはなく、足の水虫が爪に感染して発症します。
 爪は水虫になると白く濁り、厚くなります。かゆみや痛みがないので、放置されやすく、その結果、
爪の先端から壊れていったり、極端に分厚くなって鳥の爪のようになったりします。
症状が全部の爪に及ぶこともあります。
・手白癬
 足の水虫とほとんど同じですが、角質増殖型が多いのが特徴です。指の付根あたりから皮が厚く硬くなり、
手のひら全体へと広がっていきます。両方の手に起こることは少なく、ほとんどが片手にできます。
 一日中、水を使う仕事をしている人に多く、主婦湿疹(手湿疹)と間違われやすいようです。
主婦湿疹の場合は付根付近ではなく、指の先からガサガサして、ひび割れてくるのが一般的です。
・その他の白癬
 白癬菌による感染症は足や手、爪以外にも起こります。からだに出来た白癬をたむしと呼びます。
典型的なたむしは、発疹の輪郭が盛り上がって輪のようになり、輪のなかの部分は感染してないように
みえます。ただし、こうした典型的な症状を示さないたむしもかなりあり、見分けは難しくなっています。
 内股の付根近くにできるものを、「いんきんたむし」と呼びます。たむしと同じように、発疹の輪郭が
盛り上がって弧を描きます。陰のう部分は感染しにくいのが特徴です。
 しらくもは一時日本ではほぼ消えたと考えられていました。ところが猫やモルモットなどのペット類から、
これまでにはなかった白癬菌に感染して、脱毛斑を起こすことが、ときにみられるようになりました。
ペットの毛が抜けていたら注意しましょう。

治療
高い治療効果のある薬
 水虫を完全に治す薬が開発されればノーベル賞ものといわれたのは過去の話で、すでにかなり効果の高い薬が
出ています。正しい知識と根気があれば、水虫を完全に退治できる時代になっています。
[外用薬]
水虫の治療薬として、まず第一に使われるのは外用薬で、軟膏、クリーム、ゲル、液剤などの形状があります。
現在、外用薬の主流となっているのはイミダゾール系の薬剤で、抗菌作用が強く、白癬菌だけでなくカンジタ菌など、
ほかのカビにも効果があります。
 最近では特に浸透しやすく、皮膚に長く留まって効果が続く薬が開発されています。以前は1日2〜3回塗る必要が
ありましたが、最近は1日1回の薬が主流です。1日1回塗れば1〜2週間で症状はかなり改善され、1ヶ月以上たてば
白癬菌はほぼ死滅します。外用薬を2週間塗っても症状が変わらなかったり、かえって悪化するようなら、
水虫以外の皮膚疾患を疑ったほうがよいでしょう。
 効果の高い外用薬として、ほかにチオカルバミン酸系、アリルアミン系、ベンジアルミン系、モルフォリン系など
抗真菌剤があります。医師の処方と同じ成分の市販の外用薬も多く出回っています。
[薬の塗り方]
ただ患部に塗ればよいというのではなく、より効果的な使用法を心がけます。お風呂で薬用石鹸でよく洗って
清潔にし、乾いたタオルで十分水気をぬぐったら皮膚が軟らかいうちに、少し広範囲に薬を塗ります。
その場合、中心からではなく、塗ろうとする外側からつけていきます。
 最も大切なことは、毎日忘れないで、根気よく塗り続けることです。かゆみがなくなり、皮膚の症状がよくなった
ところで薬をやめてしまうと、ほぼ確実に再発します。冬になって症状が治まったようにみえても、
硬い角質層の奥に潜んだ白癬菌はまだ生きている可能性があります。白癬菌が少しでも生きている限り、
また症状はぶり返します。少なくとも2ヶ月間は毎日塗り、その後は週に1回程度塗り続けると、次の年の夏の
水虫を予防できます。現在までのところ、塗り続けたからといって薬が効きにくくなったり、副作用が出やすくなる
といった報告はされていません。

予防
清潔と乾燥が予防の決め手
 白癬菌が足や手についただけでは、水虫にはなりませんから、こまめに手足を洗って清潔にしておけば、
感染を防止できます。
 水虫になりやすいのは高温多湿の環境ですから、足がむれないようにすることがとても大切です。
夏場はできるだけ通気性のよい靴を履き、会社ではサンダルに履き替え、靴下も通気性、吸湿性のよい
木綿製を常用するなどで足をむらさないことです。また、同じ靴を毎日履いていると、どうしてもむれやすくなるので、
靴を3〜4足用意して、毎日履き替えてローテーションをくむようにします。
 また、お風呂上りにはタオルでよく足をふき、乾燥させます。家族の中に水虫になっている人がいれば、
足ふきマットやバスタオル、スリッパなどは同じ物を使わないようにして、治療を進めましょう。
 きちんと薬を塗れば1週間程度で菌の排出はなくなります。ホテルや旅館の風呂場、プールなどの足ふきマット、
スリッパも感染源になることがあります。持参のタオルで足の裏を拭けば、かなりの菌が落ちて感染が防げます。

根気が特効薬
 水虫に効く薬が次々に開発されているにもかかわらず、水虫になっている人は相変わらず多いようです。
サラリーマンはもとより、これまであまりなかった、女性や子どもまで広がってきました。長年患っている
慢性患者も多く、治らないとあきらめてる人も多いですが、そんなことはありません。水虫はきちんとした
治療さえすれば、必ず治すことができます。
 ただし、短期間で簡単に治せるというものではありません。何ヶ月にもわたって毎日忘れずに継続して、
薬を塗る努力が必要です。根気こそが水虫の特効薬です。


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