メニエール病
内耳の異常により、めまいや耳鳴りを起こす原因不明の病気で、
進行すると難聴がひどくなることもあります。


ヘルスチェック
こんな症状に注意!
・耳に水が入ったような感じがしませんか?
・耳鳴りがありませんか?
・耳が聞こえにくくありませんか?
・めまいがしますか?
・頭痛、頭重がありますか?
・肩がこりますか?
・吐き気がしますか?
・難聴が進んでいませんか?
どんな病気ですか?
内リンパ水腫が招く病気
 メニエール病は内耳の障害によって引き起こされる病気で、突然、激しい眩暈におそわれ、
耳鳴りや難聴を伴います。
 耳は、耳介、外耳道、鼓膜、中耳、内耳で構成されています。一番奥の内耳は、
音を聞いたり、からだのバランスを保つうえで、非常に重要な働きをしています。
 内耳には、音の刺激を感受する器官の蝸牛と、平衡感覚をコントロールする器官の前庭(耳石器)、
三半規管があり、いずれも骨とその内側の膜の間が外リンパ液、膜の内側が内リンパ液という
液体で満たされています。
 リンパ液の量は、常に一定に保たれていますが、内リンパ液が増加すると、内圧で膜が膨らんで
内リンパ水腫が起こります。内リンパ水腫によって神経が刺激され、めまいや耳鳴りが起こるのが
メニエール病です。なぜ内リンパ水腫が生じるのか、その原因については解明されていません。
 かつては40代の働き盛りに多くみられた病気でしたが、高齢化社会に伴って、発症する年齢が
上昇傾向にあります。
原因と症状
めまい発作を不規則に繰り返す
 メニエール病は、前ぶれもなく現れる「ぐるぐる回る感じ」のめまい発作で始まります。
発作は30分から数時間続きますが、時間とともに症状は軽くなり、やがて消えてしまいます。
 しかし、いったん治まっても頭を動かすとめまいが誘発されることがあります。
また、発作のとき、障害のある耳のほうを下にして寝るとめまいが強くなり、逆に正常な側を
下にすると軽くなります。めまいと同時に吐き気や嘔吐、頭痛などの自律神経症状も現れます。
 さらに、めまいと前後して片方の耳で耳鳴りがしたり、聞こえが悪くなったり、耳に水が入ったような
感じ(蝸牛症状)が起こります。
 このような発作を繰り返し起こすのが、メニエール病の大きな特徴です。
めまいのなかには、手足の麻痺やしびれ、意識の混濁を招くものもありますが、メニエール病で
現れるめまいは、中枢その他の神経症状や意識障害を伴いません。
 発作の間隔は不規則で、毎日発作を起こすこともあれば、数年あるいは数十年に1度、
起こる場合もあります。
 メニエール病の最初の発作では、めまいや嘔吐のほうに気をとられ、耳鳴りや難聴に気づかない
ことがあるようです。
 逆に、めまい発作がなくても、聞こえが変化したり、耳鳴りが起こることもあります。
初めのうちは、めまい発作が治まれば耳鳴りは自然に消失し、聞こえも元の状態に戻ります。
発作を繰り返すうちに、めまいが治っても聴力は完全に回復せず、耳鳴りと難聴が続くようになり、
難聴の程度も次第に重くなっていきます。
 難聴には、音を伝える外耳や中耳の障害で起こる伝音性難聴と、音を感じる内耳や神経系の
障害で起こる感音性難聴があります。
 伝音性難聴の場合、大きな声で話したり、補聴器をつけることではっきりと聞こえるのに対し、
感音性難聴の場合は音を大きくしたり、大声で話しかけても、雑音ばかりが大きくなってきちんと
聞こえません。メニエール病による難聴は感音性難聴で、明瞭度が悪いのが特徴です。
また、通常の音は聞こえにくいのに、子どもの叫び声、物を置く音、ドアを閉める音などは
響いて聞こえるため、耳が痛くなるケースもあります。
 病気がさらに進行すれば、反対側の耳にも同じような症状が現れるようになることもあります。
問題は、反対側の耳が聞こえにくくなり始めても、最初に聞こえにくくなったほうに比べると
よく聞こえるため、両方の耳が悪くなっていることになかなか気づかない点です。
 両耳に障害が現れるケースはあまり多くありませんが、症状を悪化させないためにも、
早期に正しい診断と適切な治療を受けることが大切です。
検査と診断
めまいの現れ方が診断のポイント
 メニエール病の主症状はめまいですが、メニエール病以外にも、めまいを招くさまざまな原因や
病気があります。そこで、まず問診によって、めまいを起こしたときの状況やめまいの続く時間、
めまいに伴う症状や経過などについて詳しい情報を得ます。問診は、メニエール病かどうかを
診断するうえで重要なポイントになります。
 問診によってメニエール病が疑われる場合は、さらに平衡機能検査や聴力検査を行います。
[平衡機能検査]
平衡機能検査は、内耳の反射やからだの平衡感覚を調べるもので、眼振検査、体平衡検査などが
代表的なものです。
 めまいを起こしたとき、まっすぐ歩こうとしても一方に片寄ってしまうのは、からだの平衡感覚が
失調しているためです。平衡感覚が失調すると、からだだけではなく、目にも症状が現れます。
めまいを起こすと目はゆっくりと一方に片寄り、その後急速に元の位置に戻ります。
この特有の目の動きを眼振といいます。
 注視眼振検査では、物を見つめた状態で眼振が現れるかどうかを、非注視目振検査では
頭の位置による眼振の状態と、からだの位置を動かしたときの眼振の状態を観察します。
 メニエール病のような内耳の障害は、注視状態では眼振が抑えられ、非注視状態では眼振が
現れやすくなります。
 体平衡検査では、立ったり、歩いたり、足踏みなどをして、からだの片寄りや傾きの程度と、
これを元の位置に戻す力を観察します。
 必要に応じて、耳に水やお湯を入れて左右の内耳の働きをみる温度刺激検査や、動くものを追視し、
眼球運動を調べる視刺激検査なども行われます。
[聴力検査]
メニエール病は、耳鳴りや難聴を伴うため、聴力検査を行って、その程度や種類を知ることが必要と
なります。
 聴力検査では、音を段階的に出してどのくらいの音の強さで測定周波数が聞こえるかを調べる
純音聴力検査や、前もって録音しておいた単語をいろいろな強さで再生して聞かせる語音による
明瞭度検査などが行われ、伝音性難聴か感音性難聴かを判別し、程度をチェックします。
治療
薬物療法でめまいを抑制
 メニエール病の発症基盤となる内リンパ水腫の原因が不明なため、根本的な治療法は
今のところありません。
 そこで現在は、めまいの症状を緩和したり、内リンパ水腫を改善する薬物療法を中心に治療が
行われています。
 めまい発作を抑えるには、塩酸ジフェニドールなどの抗めまい剤、コパマミドなどのビタミンB12、
血管拡張剤などが投与されます。
 また、めまいは精神的ストレスと相関関係があるため、精神安定剤や自律神経安定剤などが
用いられることもあります。
 一方、内リンパ水腫の改善には、高浸透圧利尿剤を用います。なかでもイソソルビドという
高浸透圧利尿剤はメニエール病に有効です。
 完治は期待できないものの、薬物療法をきちんと続けていけば、大半の人はめまい発作を抑制できます。
半年以上薬物療法を行っても、めまい発作をたびたび繰り返したり、聴力が急激に衰え、
社会生活に大きな支障をきたすような重症のケースでは、外科的治療が選択されることもあります。
 手術には、耳の後ろ奥にある内リンパのうから過剰になった内リンパ液を排泄させる内リンパのう開放術や、
前庭神経を切る前庭神経切断術などがあります。
 外科的治療によって80〜90%の人は、めまい発作を起こさなくなり、聴力の悪化を防ぐこともできます。
薬物療法を続けるか手術に踏み切るかどうかについて、一定の基準はありません。したがって、
主治医と現在の病状をよく話し合って、最も効果的な治療法を選択することが大切です。
予防と日常生活の注意点
めまい発作が起きたら安静が第一
 めまい発作は、いつどこで起きるか予測ができません。また、めまいが起こると、周囲の状況と
自分の位置関係がわからなくなるため、思いがけない事故の原因となることもあります。
 しかし、どんなに激しいめまい発作でも、時間とともに必ず治まってきますから、あわてず、できるだけ楽な
姿勢で安静にすることが大切です。
 めまい発作中は転倒しやすいので、トイレなどに行くときはには、周囲の人に付き添ってもらいましょう。
めまいが繰り返されるにつれて、聴力も悪化していきます。一度失われた聴力は元には戻りませんから、
めまいが起こったらなるべく早く医師の診察を受けて、早期のうちに治療を始めましょう。
[ストレスを避ける]
ストレスがめまい発作の引き金になることは、確かです。心身のストレスは自律神経を刺激し、
内耳の血流に異常が生じて発作を引き起こすのです。
 発作の再発を防ぐ為には、日ごろからストレスをためないように工夫することが大切です。
通常どおりに仕事をしてかまいませんが、例えば机に向かって下を向くような姿勢を長時間続けることは
よくありません。
 仕事中、肩こりや首の痛みを感じたら、軽い運動を行って筋肉をほぐすようにしましょう。
また、夜更かしは厳禁です。残業や夜勤はなるべく避けて、夜は十分に睡眠をとるように心がけましょう。
[禁煙]
タバコの中に含まれるニコチンや一酸化炭素はめまい発作の大敵です。ニコチンは、全身の
毛細血管を収縮させ、血液の流れを悪くします。そのため、内耳や脳幹への血流も悪くなり、
めまいが引き起こされたり、治るのが遅れたりします。
 また、一酸化炭素は赤血球と酸素との結びつきを阻害するため、脳や心筋への酸素の供給量が減り、
めまいの原因になります。
 タバコは、からだにさまざまな害をもたらします。メニエール病の人は、特に禁煙するようにして下さい。
食事に関しては、塩分や水分をとりすぎないように注意しましょう。
規則正しい生活を続ける
 メニエール病になると、めまい発作に対する不安や恐怖心で気持ちが沈んだり、発作時に
他人に迷惑をかけたくないという気がねから、つい引きこもりがちになってしまいます。
しかし、それでは病気の改善を遅らせることになります。
 日常生活や将来に対する不安や焦り、いらだちなどの精神的ストレスは、病気を悪化させる要因となり、
悪循環を招きます。メニエール病は、適切な治療を続ければ、発作を抑制することは可能です。
決して悲観的になることはありません。
 規則正しい生活を送り、自分に合った方法で上手にストレスを解消することを心がけてください。
めまいや耳鳴りに神経質にならずに、ゆったりとした気持ちで生活していくことが大切です。

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