過敏性腸症候群
ストレスなどによって腸が過剰に反応し、便通異常が続くのが特徴です。
規則正しい生活でストレスを発散させ排便のリズムを取り戻しましょう。


どんな病気ですか?
「怒りっぽい腸」が過剰に反応
 過敏性腸症候群は、消化器科や胃腸科などの外来を訪れて下痢や便秘を訴える人の40〜70%を占めるほど
頻度の高い病気です。下痢に襲われるのを心配して、外出先では何も食べない、各駅停車の電車にしか乗れない、
そんな生活を何年も続けている人もいます。
 検査をしてからだに異常はないのに下痢や便秘、または、両方を交互に繰り返すなどの便通異常が
長期間続くのが特徴です。1回の便量が少なく、多くの場合排便前の腹痛や残便感があります。
腹が張る、腹が鳴る、吐気、嘔吐、ゲップ、放屁など、腹部に不快な症状がでることもあります。
症候群といわれるように、いくつかの症状が集まっていることが多いものです。また、立ちくらみ、動悸、肩こり、
疲労感、異常発汗、顔面の紅潮、いらいら、などといった自律神経失調症を合併することもしばしばあります。
 年齢層は、思春期から40代を中心に50代までと幅広いのですが、60歳以上の高齢者には少ない病気です。
最近は、小・中学生にも増えていて、特に進学校の生徒に多いといわれています。
男女比では10体17の割合で女性に多く、男性では下痢型、女性では便秘型の傾向があります。
 この病気は多くの場合、不安や緊張などのストレスで自律神経のバランスが乱れることから起こります。
特に副交感神経が過度に緊張すると、主に大腸が過敏に反応して起こることが多く、神経質な人がかかりやすいと
されています。また、腸管の運動異常によるものや食生活の影響もあると考えられます。
過敏性腸症候群の英語名(irritablebowelsyndrome)は「怒りっぽい腸の症候群」という意味で、
ストレスに腸が過剰に反応する病気といえます。
ヘルスチェック
こんな症状に注意!
・何週間も下痢や便秘が続いていますか?
・排便後、残便感がありますか?
・便秘がちで、ウサギの糞のようなコロコロした便ですか?
・排便後、腹痛がやわらぎますか?
・神経質で几帳面ですか?
・進学、転職、異動など環境の変化がありましたか?
・休日にはリラックスできますか?
症状と診断
3週間以上の便通異常が続くなら要注意
 過敏性腸症候群と診断されるのは、さまざまな検査をしてほかの病気ではない場合に限りられます。
そのうえで、診断基準として、1982年にアメリカの国立衛生研究所(NIH)が発表したものが日本でも
使われています。これは、年に6回以上下痢や便秘などの便通異常が起きて、しかも1回が3週間以上続き、
その際腹痛を伴いますが、排便するとやわらぐ、というものです。
 腹痛の程度や痛む場所は一定しませんが、左下腹部か右上腹部(胆のうのあたり)が、キューンと
絞られるように、あるいはシクシクと痛む場合が多いようです。下痢型では、あまり腹痛がない症例もあります。
・心理テストで症状の重さを判定
 過敏性腸症候群と診断されると、神経症テストや性格テストなどで、心理面の検査をします。
学校不適応を起こした学生の約30%が過敏性腸症候群がきっかけだったという調査報告もあります。
オフィスに勤める人の間にもテクノストレスをはじめとする職場の緊張と不安から起こるケースが増えています。
ストレスがきっかけになる場合がほとんどなので、身体症状より精神症状が深まるほど重症と診断されます。
発症から6ヶ月以内で身体症状が主体の場合は軽症、これに不安感や抑うつ感が加わると中等症とみなされます。
何年にもわたる長い病歴で、恐怖・強迫・抑うつ感などが増すと重症です。ただし、ストレスや性格とは関係なく、
体質的なものや幼児期の経験から、過敏性腸症候群になる場合もあります。例えば、下痢や腹痛のときに、
母親にやさしくしてもらった経験が症状を誘発したり、親がしばしば下痢や便秘で苦しがる姿を見ていたことが
影響する例もあるといわれています。
原因
下痢や便秘はなぜ起こる?
 過敏性腸症候群になると、なぜ慢性的な下痢や便秘になるのでしょうか。
それには、大腸の役割と排便の仕組みを理解する必要があります。
・便が排出されるまで
 大腸は盲腸、結腸、直腸に分かれ、馬跡形に小腸を取りまいて、いわば糞便製造器の役割を果たしています。
食物は小腸で栄養分や水分のほとんどを吸収されて、大腸の上行結腸に移ります。そこから下行結腸から
S状結腸と下がり、直腸へ落ちるという順に、糞便は長さ約1.6mの腸管をゆっくり移動します。
その間に水分や塩分が吸収され、徐々にほどよい硬さの糞便がつくられます。
 通常の便の水分含有量は約75%とされます。食物を摂取してから排便されるまで約24〜72時間、
大腸内で糞便になるには12〜16時間かかります。
・胃結腸反射で便意をもよおす
 たいていの人は、朝食後に反射的に便意をもよおします。これは、食物が胃に入ると、大腸の入り口の
回盲弁(かいもうべん)が開き、上行結腸が小腸から内容物を受け取ると、同時に大腸全体がのたうつように
蠕動して、下行結腸にあった糞便を直腸に押し出す、という運動によるものです。空の直腸に糞便が入ってくると、
直腸壁の神経が糞便の圧力を感知して、大脳にこの情報を伝えます。これが便意をもよおす胃結腸反射と
いわれるものです。大脳は自律神経を通じて肛門括約筋を緩める指令を出して、排便が起こります。
・腸の運動は自律神経と密接に関係
 一方、大腸の腸管運動は自律神経がコントロールしています。自律神経には腸管運動を抑制する
交感神経と促進する副交感神経があり、両方でバランスをとっています。その自律神経の中枢は脳の
視床下部にあります。視床下部は大脳辺緑系に近い場所に位置し、互いに影響し合っています。
この大脳辺緑系は怒りや不安、意欲などの情動を管理する中枢です。極度の緊張や不安などのストレスを
感じると、大脳辺緑系から視床下部、自律神経に緊張が伝わります。これに伴い、大腸では腸管運動を
促進する副交感神経が過度に緊張し、大腸のけいれんとなって現れます。
 大腸全体が細かくけいれんすると、胃結腸反射による蠕動が起こり、糞便は少量ずつ腸管を急速に移動します。
当然、水分は十分に吸収されず、水のような便や泥状の下痢便となるわけです。
 便秘の場合は、けいれんが大腸全体で均等に起こらないときに生じます。大腸の始まりの上行結腸より
直腸に近いS状結腸のけいれんが強いと、便はスムーズに出なくなります。いわば、チューブを出口近くで
絞ったようなものです。そうなると大腸全体の糞便の移動は遅くなり、それだけ水分は吸収されて硬くなり
出にくくなります。やっと出ても、ウサギの糞のようにコロコロした便になります。このように、ストレスによる
自律神経の緊張が腸管の異常なけいれんにつながり、ときに下痢や便秘を起こすわけです。
治療
食事、排便、運動、睡眠の生活リズムを
 日常の生活指導を中心に、病態によって薬物療法、心身医学療法などを組み合わせた治療が行われます。
・生活にリズムをつける
 便通異常は習慣化しやすいものなので、暴飲暴食を避け、規則正しい食生活と排便、軽く汗をかく程度の運動、
十分な睡眠と休養などを心がけ、生活にリズムをつけることが先決です。便意をもよおさねくても、食後の決まった
時間にトイレに行くよう習慣づけます。趣味やスポーツなどで、効率よくストレスを発散させる方法も
考えてみましょう。
 これまでのライフスタイルを見直すために、たとえば下痢や便秘の回数、腹痛の程度、その日の気分や行動、
食生活などを記入するセルフコントロール表をつけるという方法があります。これで、自分の気分や生活と
症状がどのように関係しているかを知ることができます。
・食事の注意
 下痢には消化吸収のよい低脂肪食、便秘には食物繊維を多く含んだ食品がよいといわれます。
ただ、過敏性腸症候群では下痢と便秘を繰り返すことが少なくないため、栄養バランスのよい食事を
心がけ、そのときの症状を悪化させるような食事は避けましょう。
・薬は補助的な役割
 薬は症状の緩和には役立ちますが、本質的な治療というより、生活指導や心身医学的治療の補助的な
手段として使われるといえます。
 軽症の場合は、腸の働きを整える整腸剤を飲んだり、消化管機能調整剤で改善を図るなどの方法がとられます。
下痢の症状が強い時には下痢止めを使います。
 便秘が続く場合は、緩下剤や浣腸などが必要になることもあります。
ただし、センナ、アロエなどの成分を含む大腸刺激性下剤は、長期間使用を続けると、腸粘膜を傷つけて
炎症を起こしたり、下剤の使用が習慣化するなどのおそれがあるので、少量にとどめてるようにします。
また、どうしても無理なら、整腸剤や食物繊維の下剤と併用して、大腸刺激性下剤の量を、
少しずつ減らしていき、自然の排便リズムを取り戻すことが大切です。
 また、ストレスや不安を和らげ、精神症状の改善を図るうえで、抗うつ剤や抗不安薬が有効な場合があります。
便秘主体型、下痢主体型、便秘と下痢を繰り返す交替性便通異常とともに漢方薬が有効なケースが
多くあります。
・心身医学的療法で軽減することも
 日曜日はなんともないのに、会社や学校に行く月曜日になると、朝食後に下痢を起こすのが典型的な
過敏性腸症候群です。最初は、ストレスに直面して症状が出てきます。模擬テストの会場で腹が痛くなった、
会議中にトイレに駆け込んだ、といったケースです。予期不安といって、そのうち便通異常がなどが出るのでは
ないかと想像するだけで、実際に症状が現れるようになります。
 医師のカウンセリングを受けて、どんなストレスが引き金になっているか、はっきりさせることが大切です。
本人がストレスを認めたうえで、対処法について、医師と話し合います。その際、家族や周囲の理解と協力も
必要です。例えば「からだに異常はない」「病気ではない」「心配ない」「精神的なもの」といった安易な
励ましの言葉は禁物です。症状に対する周囲の無理解がストレスの原因となっている場合も少なくありません。
 心身医学的なアプローチとしては、専門医によるカウンセリングのほか、自律訓練法や精神分析を応用した
交流分析、行動療法、家族療法などがあります。こうした治療を受ける場合は、医師との信頼関係が重要ですから、
どうしても「気が合わない」「納得できない」と思った時には医師を代えてみてもよいでしょう。
便通異常をやわらげる市販薬
 過敏性腸症候群では、腸に過度な刺激を与えず穏やかに作用する市販薬を選ぶことが大切です。
整腸作用のある乳酸菌製剤はほとんど副作用もなく、家庭でも広く用いられています。
ただし、乳酸菌製剤は胃酸に弱いので、”胃酸で溶けずに腸まで届く!”商品を選ぶ方が、よいでしょう。
(当店おすすめ商品「ビフィズム」100カプセル2980円1回1カプセル、1日3回毎食後に服用)
また、漢方薬で症状が改善することもあります。便秘が主体の時は乙字湯(おつじとう)や大柴胡湯(だいさいことう)
精神不安を伴う便秘には、加味逍遥散(かみしょうようさん)、下痢には半夏寫心湯(はんげしゃしんとう)や
人参湯、便秘と下痢を繰り返す交替性便通異常には桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくとう)などが効果的です。
・気をつけたい食品
 食べ物に神経質になる必要はありませんが、なるべく整腸作用のある乳酸菌飲料などをとりましょう。
腸管を刺激する脂肪、食塩、砂糖類、アルコール、カフェインはとりすぎないように気をつけてください。
特に、脂肪分は胃に入ると腸管の収縮を促すので、腸管けいれんを悪化させるおそれがあります。
くん製や塩漬けなどの加工食品も避けた方が無難です。精製加工されることにより、ビタミン、ミネラル、繊維、
たんぱく質などの価値ある栄養素が失われ、代わりに食品添加物などが加わるからです。
 便秘が続いているときは、食物繊維を多く含む野菜、全粒穀物(玄米、全粒パン)、胚芽米、果物、豆類、
魚、海藻、キノコ類を食べましょう。
 ただし、若年層の過敏性腸症候群には食物アレルギーが多いという報告もあり、注意が必要です。
ストレスに対する抵抗力をつけて
 過敏性腸症候群は放置していても命にかかわるような病気ではありません。ただ、人にいえない悩みや苦しみは
大きく、即効的な治療法や薬もないのが現状です。
 わたしたちは、この症状の誘因でもあるストレスに満ちた日常を生きていかなければいけません。
そこで、過敏性腸症候群がどんなときにどのように起きるのかをよく理解し、家族や周囲もこの病気を
受け入れて生活していく姿勢が大切です。
 そのためには、規則正しい生活を心がけて、ストレスをなるべくため込まず、上手に付き合う方法を工夫して、
心身の抵抗力を高める必要があります。
 日常生活や社会生活に支障がなくなる程度に過敏性腸症候群を抑えたとき、それが治療のゴールです。
多少の下痢や便秘はだれにでもあることだからです。
ストレスによる自律神経の乱れを正常にもどす、からだの抵抗力をつける!
ローヤルゼリー散

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