胃炎
出血を伴う急性胃炎の半数は、アリコールの飲みすぎが原因です。
慢性胃炎では、根気強い食事療法が大切です。
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どんな病気ですか?
胃の粘膜に炎症が起こったもの
胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。急性胃炎は胃の壁の粘膜に炎症が起こったもので、
原因が取り除かれれば数日で軽快します。慢性胃炎は胃の粘膜に繰り返し炎症を起こした結果、
胃液を分泌する胃腺組織の破壊、減少、消失がみられるものです。
内視鏡(胃カメラ)で観察した粘膜の様子から、数種類に分けられます。
また、急性胃炎、慢性胃炎とも、胃の中で発見された細菌ヘリコバクター・ピロリとの関係が
注目されています。ヘリコバクター・ピロリを除菌することによって、
胃炎や難治性の胃・十二指腸潰瘍が治る事例が、多数あります。
急性胃炎の原因・種類・症状
原因により種類が分けられます
・急性外因性胃炎
大きく分けて、急性単純性胃炎と、急性腐食性胃炎があります。
前者は更にいくつかのケースに分類することができます。
急性単純性胃炎で最も多いのが、暴飲暴食によるものです。極端に暑い飲み物、冷たい飲み物を
たくさんとることが原因です。例えば、熱い物ではうどんやそば、冷たいものではかき氷やアイスクリームです。
カレーやコーヒー、香辛料などの刺激物をたくさんとった場合、または、アルコール類を飲みすぎた場合も
急性単純性胃炎をおこします。
飲食の数時間後から、上腹部に痛みを感じ、重苦しく、むかついたりします。
ひどい時は、嘔吐、吐血ということもあります。
また、薬の副作用でも、急性単純性胃炎になることがあります。
解熱剤アスピリン、強心剤のジギタリス、非ピリン系鎮痛剤の一部、抗生物質などの薬は、
胃炎の副作用を伴いやすいものです。薬を飲んだ直後から、胃の痛みや重苦しい感じ、
胸やけなどの症状がでます。
このほか、精神的・肉体的ストレス、過労や睡眠不足、放射線の被曝などが原因で、
急性単純性胃炎を起こすことがあります。
一方、農薬や毒物など強い酸や強いアルカリ剤を飲んでしまった時に起こるのが、
急性腐食性胃炎です。口から咽頭、胃にかけて、激しく焼けるように痛みます。
| ・急性内因子性胃炎 急性感染性胃炎、急性化膿性胃炎、アレルギー性胃炎の3つに分けられています。 細菌やウイルス性の疾患に合併して発病するものを急性感染性胃炎といいます。 これはインフルエンザによるものが多く、ほかにウイルス性肝炎、腸チフス、肺炎などでもよくみられます。 病原菌が胃のほか腸の粘膜を侵すことが多く、腹痛、むかつき、嘔吐、下痢といった症状がでます。 溶血性連鎖球菌、ブドウ球菌などによって、胃の粘膜下層に炎症が起こったものが急性化膿性胃炎です。 周辺の臓器など、ほかの部位に生じた細菌が胃の粘膜下層に入って化膿することで発病します。 また、サバなどの魚介類を食べた時に起こるのが、アレルギー性胃炎です。 食事の後に、急激な胃の痛み、むかつき、嘔吐などが襲ってきます。 |
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| 胃 炎 の 種 類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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急性胃炎の治療
暴飲暴食には絶食療法が有効
原因によって治療法が異なります。暴飲暴食が原因の場合は、絶食療法が有効です。
1日食事を抜き、番茶などで水分だけを補給します。軽い場合は、これだけで症状が軽快します。
症状が取れたら、おかゆなどやわらかい食べの物を少しずつ食べていき、
3日目くらいからふつうの食事にもどします。
薬の副作用が原因の場合は、原因となる薬の服用をやめ、刺激のないやわらかい食べ物を
とるように注意すれば、症状はよくなります。
ただし、病気の性質上、薬の服用中止が難しい場合は、医師又は薬剤師に相談してください。
薬の量を減らすか、胃の粘膜を保護する薬と一緒に服用するなど対策が必要です。
急性腐食性胃炎は、救急車で病院へ行き、すぐに胃の洗浄をしないといけません。
飲んだ毒物と量によっては、死に至ることもあります。
急性感染性胃炎は、抗生物質による薬物療法、急性化膿性胃炎では、
体質が原因なので、症状を起こす食べ物を食べないことが大事です。
注意するほかの病気
3日以上治らないときは黄信号
暴飲暴食や薬の副作用による急性胃炎は、原因を取り除き、刺激物を避けたやわらかい食事を
するなど適切に対処すれば、はやく改善します。もし3日たっても症状が快方に向かわないようなら、
別の病気を疑う必要があります。
まず、薬の副作用や肉体的・精神的ストレスが原因の場合は、急性胃潰瘍が考えられます。
一般的な急性胃炎の症状に加え、みずおちがズキズキと痛むののが特徴です。
この痛みが、空腹時や夜間に限って起こり、食事をとると痛みが消える場合は、
十二指腸潰瘍が考えられます。
アルコールの飲みすぎの場合は、急性膵炎が疑われます。この場合もみずおちが強く痛みます。
尿検査でアミラーゼが上昇していれば、急性膵炎の可能性が高く、CT検査などで診断を確定します。
みずおちから右上腹部にかけて、激しい痛みが数時間以上続くことがあれば、胆石症の疑いがあります。
この痛みの発作は、夕食を取って数時間後に起こることが多いようです。
みずおちやへその部分から痛みだし、しだいに痛む場所が右下腹部に移っていく時は、
虫垂炎(盲腸炎)が考えられます。白血球が増加するのも特徴です。
慢性胃炎の原因
胃の粘膜が萎縮する
慢性胃炎の原因の原因は、はっきりしていません。単なる加齢現象として、胃の粘膜の萎縮が
原因とする説もあります。
慢性胃炎の定義も定まったものではありません。胃部の不快感や胸やけの症状が長期間続き、
がんや潰瘍などの器質的疾患が認められない場合、すべて慢性胃炎として扱う場合もあります。
急性胃炎が治りきらないうちに暴飲暴食を繰り返していると、炎症が治る際に胃の粘膜の一部が
盛り上がってきたり(過形成)、腸の粘膜のように栄養分を吸収する細胞ができたり(腸上皮化生)します。
こうした変化が繰り返されると、だんだん胃液を分泌する胃腺が萎縮してしまいます。
胃の調子が悪いのに、食事を満腹まで食べたり、コーヒーを何杯も飲んでいると、慢性胃炎になります。
辛いカレーを食べたり、アルコール類をがぶ飲みしても同じことが起こります。
ビールや炭酸飲料も胃を刺激するので、よくありません。
タバコも胃炎を悪化させます。タバコに含まれるニコチンが、胃の粘膜の血流を悪化させ、
胃の働きを悪くするからです。
クスリの副作用による急性胃炎も、原因となっている薬の服用をやめるか、減量するなどの
対策をとらないと、暴飲暴食をくり返すのと同じになります。
胃の中にすむヘリコバクター・ピロリの感染も、急性胃炎から慢性胃炎へ移行する原因になっていると
推測されています。
一方、胃腺が萎縮していても、少女のない人もいることから、慢性胃炎は単なる加齢現象という
考え方もあります。 また、何らかの理由で、胃にとって本来不必要な抗体ができてしまう
自己免疫疾患が原因となって、胃腺の萎縮が起こるのではないか、との観点から
研究が進められています。
慢性胃炎の種類
内視鏡による分類
内視鏡で胃の粘膜を観察した結果により、3つに分類されます。
・萎縮性胃炎
胃の粘膜の組織である胃腺が萎縮して破壊され、しだいに減少した状態になったものです。
こうなると、胃液の中に塩酸が十分に分泌されなくなり、食べ物が消化しにくくなります。
・肥厚生胃炎
胃の粘膜の筋肉が緊張して厚く見えるタイプです。
・びらん性胃炎
胃の粘膜がただれた状態(びらん)になったもので、短期期間消失するものをびらん性胃炎、
長期間続くものをゆう状胃炎といいます。
こうした分類とは別に、がんや潰瘍など器質的な異常がないにもかかわらず、
胃を含む上部消化管に由来する症状が4週間以上続くケースを、”NUD”と呼ぶ学説が
最近提唱されています。
また、精神的ストレスが長期間続くことにによって、胃部の不快感、胸やけ、食欲不振と
いった症状が続く場合、神経性胃炎と呼びます。
| 慢性胃炎の治療 症状を取ることが目標 胃の粘膜の萎縮は、もとにもどらないものなので、症状を取ることが治療の目標となります。 ストレスを避け、なるべく安静を心がけるのことが第一です。消化のよいやわらかい食べ物を 食べるようにし、コーヒーや香辛料を多く使った料理を避けるようにしましょう。 タバコは粘膜の血流を減少させるのでよくありません。 また、炭酸飲料やアルコール類も胃を刺激するので、飲まないようにして下さい。 薬物療法では、制酸剤、粘膜防御剤、胃運動促進剤などが使われます。 これらを組み合わせて使う場合もあります。 |
| 慢性胃炎に効く漢方薬 |
| 慢性胃炎には、漢方薬が効果的です。慢性胃炎の人は高齢者に多いこともあり、 体力のない人(虚証)が少なくありません。虚証の人で、みずおちを軽く押すと、 痛みや抵抗がある場合は、人参湯や六君子湯(りっくんしとう)が適しています。 とくに、口の苦味を伴う場合には六君子湯、下痢が伴う場合には人参湯があいます。 体力が普通で(中間証)で、胃がもたれる感じがしたり、みずおちのあたりを手で押すと、 水がポチャポチャという聞こえたりする(これを漢方では胃内停水といいます)人には、 五苓散が適しています。 体力が充実している人で、みずおちを押すと抵抗や痛みのある場合は、 半夏しゃ心湯や黄連解毒湯などが効果的です。 このほか、神経性胃炎とみられる場合は、虚証の人に半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、 中間証の人に安中散などを使います。 |
胃炎の予防
暴飲暴食や過労に注意
暴飲暴食による急性胃炎がよくみられます。規則正しい食事を心がけ、よく噛んでゆっくり食べることです。
一度に大量に食べるのもよくありません。
アルコール類の飲みすぎで急性胃炎を引き起こす例も多いので注意が必要です。
また、肉体的・精神的ストレスから急性胃炎や慢性胃炎になる場合もあります。
過労に陥らないように休息や睡眠を十分に取るように心がけゆったりとした気分で過ごしましょう。
一方、疫学調査によると、喫煙本数が増すごとに、慢性胃炎になる人が多いことがわかっています。
胃部の不快感が続くような人は、タバコの本数を減らすか、やめたほうがよいでしょう。
| 家庭でできる療法 |
| 暴飲暴食による急性胃炎の場合は、1、2日の絶食が有効ですが、慢性胃炎の場合は、 栄養価のある食事を適切にとりながら治療していくことが大切になります。 同じ慢性胃炎でも、胃酸過多の場合と、胃酸が十分に分泌されない低酸症、あるいは無酸症の場合とは、 食事で気をつけなければならない事が違ってきます。 胃酸過多の場合は、香辛料を多く使った料理、アルコール類、コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを 多く含む飲み物、肉や魚をだしにしたスープなど、胃液の分泌を高める食品は避けましょう。 繊維の多い硬い食べ物や、炭酸飲料もよくありません。調味料を使いすぎた味の濃い料理、 熱すぎたり、冷たすぎる食べ物にも注意してください。 低酸症あるいは無酸症の場合は、1回の食事を減らし、回数を増やします。 また、栄養価の高い食べ物をとることが大切です。香辛料を使った料理も、胃液の分泌を促し食欲を増すので、 メニューに加えても大丈夫です。 |
| 知っていましたか?アレルギーで急性胃炎に |
| 魚介類などに対してアレルギー反応を起こし、急性胃炎になることがあります。 とくにサバなど青魚を食べた時にじんましんが出たことのある人は、注意が必要です。 食事の後に急激に胃が痛み、ひどいむかつきに襲われます。重症だと嘔吐、吐血ということもあります。 胃の粘膜が腫れたり、びらんを起こした状態になるためで、悪化すると潰瘍になることもあります。 アレルギーは体質なので、予防法としては、こうした反応を起こす食べ物を口にしないことです。 |
| 子どもの胃炎 |
| 子どもの胃炎で多いのが、急性感染性胃炎です。ロタウイルスなどのウイルス、 キャンピロバクターなどの細菌が原因になります。とくに、インフルエンザにかかった場合、 発熱、頭痛、咳、鼻水などの特有の症状のほかに、胸のむかつき、胃部不快感、胃痛、食欲不振、嘔吐といった 胃炎の症状や下痢などを起こすことがよくあります。 冷たいものの食べ過ぎなどによる急性胃炎も、子どもには多い病気です。 1日に2個も3個もアイスクリームを食べさせないようにしましょう。 |
胃の手術をした人
1回の食事量を減らす
胃がんなどで、胃を手術によって一部、もしくは全部取り去った場合、いろいろな後遺症に悩むことがあります。
これらを総称して、胃切除後症候群といいます。
食べ物が急速・大量に小腸の中に入り込むことから起こるダンピング症候群、胃と腸をつなぎ合わせた
部分の小腸側にできる吻合部潰瘍、胆汁、十二指腸液、膵液などが胃に逆流するために嘔吐する
輸入脚症候群、胃液や胆汁が食道に逆流して食道の粘膜をいためる逆流性食道炎などのほか、
下痢、貧血、骨代謝障害、体重減少などが、胃切除後の代表的な後遺症としてあげられます。
これらのなかで、もっともよく起こるのが、ダンピング症候群です。胃を切除した人の10〜20%の人にみられ、
手術後4〜5ヶ月後から起こります。早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群があります。
前者は食事中もしくは食後の20〜30分後に、胃の不快感やむかつき、動悸、全身の倦怠感などがあります。
胃はいったん食べ物を蓄え、徐々に小腸へと送り出していきますが、手術によって胃のこの機能が
失われるため、食べ物が直接、小腸に流れ込みます。
大量の食べ物を迎えた小腸では、なんとかこれを消化・吸収しようとするため、体内を循環する水分を
腸の中に注ぎ込むなどの無理をします。その結果、自律神経が障害され、症状が現れるのです。
一方、後期ダンピング症候群は、食後2〜3時間後に、一時的な低血糖状態となり、急激な脱力感に
襲われたり、冷や汗をかいたりします。
やはり大量の食べ物が急に腸に送り込まれるために起こるものです。
食物中の糖質が急速に吸収されて、血糖値が急上昇し、これに対応するためインスリンが
過剰に分泌されることから、今度は逆に血糖値が下がりすぎるのです。
早期、後期のどちらの場合でも、1回の食事量を少なくし、回数を増やすようにすれば防ぐことはできます。
よく噛んでゆっくり食べるようにし、極端に熱い物や冷たいものを避けるようにして下さい。
ジュース、ようかんなどは、ダンピング症状を引き起こしやすいので、特に注意が必要です。
胃のポリープ
検査でがんと鑑別することが大事
胃のポリープは、胃壁の粘膜の一部が胃の内側に向かって球状、もしくはキノコ状に突出したものです。
胃の粘膜にびらんが起こると、これを修復しようとして、粘膜の上皮が成長します。
これが過剰に成長したのがポリープです。慢性胃炎のある高齢者に多くみられます。
胃にポリープができても、とくに症状がないことが多く、ほとんどの場合、治療の必要もありません。
ただし、内視鏡で観察しながら組織を採取して調べる検査をして、がんかどうかを鑑別する必要はあります。
がんでなければ、良性のものですから心配はいりません。また、良性のポリープからがんに
移行することはまずないと考えられています。
| ストレスがもたらす神経性胃炎 |
| 胃は胃液を分泌し、さらに”蠕動運動”といわれる運動をすることによって、食べ物と胃液を混ぜ合わせて、 より消化しやすい状態をつくりだしています。蠕動運動は1分間に2、3回の周期で、押し寄せてくる 波のような動きを繰り返します。 ストレスを感じると、胃酸が大量に分泌され、胃酸過多の状態になります。 これが胸やけやげっぷなどの症状を引き起こします。 一方、蠕動運動は自律神経にコントロールされています。自律神経は交感神経と副交換神経という 2つの系統に支配されていますが、心理的・社会的ストレスが加わると、この2つの系統のバランスが 崩れます。このため、胃の運動が適切に行われなくなり、胃部の不快感、食欲不振など 神経性胃炎といわれる症状がでてくるわけです。 また、自律神経のバランスが崩れることによって、不眠などの症状がでて、 そのために睡眠不足、不規則な食事など生活リズムが乱れ、胃炎を悪化させている場合もあります。 一般に神経性胃炎は日本人に多いといわれています。日本人の体質、性格、思考方法、 社会習慣、ライフスタイルなどが、心理的・社会的ストレスを感じてしまうためと推測されています。 勤勉である一方、周囲の目を気にするタイプの人が多い日本人は、ストレスを感じやすい生活を しているといえます。また、競争意識が強いことも、ストレスの増大に影響があります。 こうしたことから、神経性胃炎の治療は、単に胃炎の治療をするだけでは不十分で、 ストレスの原因を探り、ストレスを取り除く、あるいはストレスを発散させることが必要です。 趣味をもったり、スポーツなどでからだを動かしたり、ストレスから身をかわす方法を 会得することが大事です。薬物療法としては、症状に応じて抗不安薬と胃腸薬の併用、 ローヤルゼリーで自律神経のバランスを整え、精神的な疲れをとることが必要です。 |