不整脈
生命に危険を及ぼすタイプから一時的なものまで、不整脈にはさまざまな種類が
あります。脈の乱れが頻繁に起こる人は、検査を受けましょう。


ヘルスチェック
こんな症状に注意!
・心臓病がありますか?
・脈が急に遅くなったり、速くなったりしますか?
・胸苦しさがありませんか?
・時々、気を失いそうになりますか?
・めまいや立ちくらみに襲われることはありませんか?
・脈が飛ぶことはありませんか?
・ドキッとする脈の感じがありますか?
どんな病気ですか?
脈が不定期的に乱れる心臓病
 心臓は毎分50〜100回の周期で規則正しく拍動しています。このリズムは、心臓の四つある
部屋のうち、右上の右心房上部にある洞結節という箇所から電気信号が発せられ、
刺激伝導系を通じて心臓全体に伝えられることで刻まれています。
この一定の規則正しい拍動を整脈といいます。
 一方、洞結節などの刺激伝導系に障害が発生したり、病気で心臓に負担がかかると、
拍動のリズムが乱れることがあります。これを不整脈といい、頻脈性と徐脈性の
二つに大別できます。
 頻脈性は脈が速くなる不整脈で、動悸がしたり、頭がくらっとしたり、胸がくるしくなったり
します。また頻拍が停止したとき、「いま止まった」と意識できるのが通常です。
徐脈性は脈が遅くなる不整脈です。ドクッドクッという脈が打つのがはっきりと感じられます。
息苦しくなったり、頭から血が引くような感じがします。
 不整脈は健康な人でもコーヒーの飲みすぎやタバコの吸いすぎ、急な運動、精神的ストレス
などによって、一時的、瞬間的によく起こります。これは放っておいてもかまわない
不整脈です。
 それに対して、治療の必要な不整脈もあります。例えば、血圧が下がっている、
ショック状態にあるなど心機能低下が予測される場合や、動悸、息切れ、胸の圧迫感、
めまいなどの症状の強いときです。現時点ではそれほどの自覚症状がなくても、
将来的に心臓の機能低下や突然死に結びつく可能性がある場合も治療の対象になります。
 種類によっては初めから治療が不要と決められるものもありますが、実際には、同じタイプの
不整脈でも緊急治療が必要なものから不要なものまでさまざまあります。不整脈が頻繁に
起こるようでしたら、一度専門医の検査を受けるとよいでしょう。
不整脈の種類・原因・症状
種類によって症状に違いがある
 不整脈には期外収縮や心房細動などさまざまな種類があります。その種類によって
原因はもちろんのこと、症状も微妙に異なります。
・余分な拍動が入る期外収縮
 正常よりも早い興奮が心室の一部に起こるものを心室性期外収縮、心房に起こるものを
心房性期外収縮といいます。
<症状>心臓が一瞬どきんとしたり止まったように感じます。脈をとると途切れたり間隔が
まちまちになったり、1拍飛ぶような触れ方をします。
 健康人にもたまにみられ、高齢者ほど起こりやすくなります。不整脈のなかで一番多い
タイプですが、心筋症、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞などの心臓疾患がなければ
心配のない不整脈です。
 ただ、上記のような症状が日常的に連続して起こると、心臓に病気がある場合の不整脈
なので、早急な治療が必要です。
<原因>何らかの故障で洞結節以外の箇所から電気信号が発生し、本来の周期が
乱れて心臓が早く収縮してしまうことで起こります。若い人より年をとった人に出やすいので、
老化が大きな原因だといわれています。また、大量の飲酒、喫煙、精神的ストレスといった
ことも誘因となります。心臓病による心筋の炎症や酸素不足も要因となります。
・心房が無秩序に動く心房細動
 心房の各部分が統制を失って無秩序に細かく動いている状態の不整脈を心房細動と
いいます。発作性心房細動と持続性心房細動とがあります。
<症状>期外収縮に次いで多い不整脈で、動悸や胸苦しさを覚えます。心拍数が非常に
多く、血圧が低下してめまいがしたり、ひどければ倒れてしまうこともあります。
一過性の場合は自覚症状を感じないこともあり、自然に治ってしまうケースも珍しくありません。
 持続性の場合は、心臓の血液拍出量が減少し、心不全に陥ることもあります。
また心房内に血液がたまりやすくなり、血栓ができる原因になります。
その血栓が血流に乗って脳動脈に詰まると、脳梗塞を起こすこともあります。
<原因>老化に伴う心房の筋肉の繊維化が大きく関与しているものと思われます。
多くはリウマチ性疾患、バセドー病、高血圧、心臓弁膜症、狭心症や心筋梗塞といった
血が心臓の筋肉に行きわたらない虚血性心疾患などが基礎疾患となっています。
・不規則な心室波を示す心室細動
 心室の各部分が勝手に興奮して、心室が震えているような状態になる不整脈です。
そのため、心室は血液を送り出すことができません。
<症状>脈が触れることができない、いわゆる心停止で、極めて危険な不整脈です。
脳の血流が途絶え、3〜5秒後にめまい、5〜15秒後に失神、そしてけいれんを起こし、
3〜4分後に死亡します。
<原因>急性心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症など、重い心臓病によって起こることが
ほとんどです。
・余計な興奮が加わる上室性頻拍
<症状>安静時に突然動悸が始まり、しばらく続いた後、唐突に終わる不整脈です。
1分間に140〜220くらいの心拍数になり、胸部不快感、不安感を覚えます。
 ゴルフのクラブを握った瞬間や駅の階段を駆け上がったときなど、健康な人でも起こります。
<原因>通常、電気刺激は心室に伝わると自然に消えてしまうのですが、何かをきっかけに
それが消えず、心筋の壁をぐるぐる旋回するようになるために起こります。通常の電気刺激の
通り道以外に、副伝導路とよばれる先天的に備わっている別のバイパス経路を
電気刺激が異常な速さで通るようになる場合と、房室結節という刺激の中継地点が複数の
中継ルートをもっていて、そこを通過するケースとがあります。
・強い動悸が始まる心室頻拍
<症状>心拍数が多くなる以外に、特有の症状はありません。上室性頻拍の症状と
よく似ていますが、心室頻拍のほうが重症です。虚血性心疾患などの発作の際に起こることが
多く、血圧が下がって意識を失ったり、ショック状態に陥ったりすることもあります。
<原因>異常な電気刺激が心室から発生したり、電気刺激が心室の中でぐるぐると
回りだしたりして、拍動数が増えることで起きます。大多数は心筋梗塞や心筋症などの
心臓病が基礎疾患となって起こります。
・デルタ波が現れるWPW症候群
<症状>上室性頻拍と同じ発作が起こりがちです。心房細動の発作を伴うこともあります。
<原因>正規の電気刺激経路とは別に、先天的に心房と心室の間に副伝導路があるため、
信号が正副両経路を通って心室を興奮させてしまうので、頻拍が起こります。
心電図にはデルタ波とよばれる特徴的な波が出るので、すぐに判別できます。
ウォルフ、パーキンソン、ホワイトという研究者の頭文字をとって疾患名がつけられています。
・自覚症状がない軽度の房室ブロック
<症状>軽いものでは自覚症状がまったくありません。
自律神経の緊張が続くだけでも起こるので、小学生から高校生までの若い人や運動選手にも
よくみられますが、これは治療の対象になりません。
 重いものではからだを動かす労作時に息切れが生じ、重度になると、めまい、失神が起こります。
心筋梗塞など重い心臓病がある場合は心房の働きがブロックされて、1分間に25〜50回
くらいの心拍数に低下します。そのため全身に血を供給することができなくなり、心不全を
起こして、死に至ります。
<原因>洞結節から発せられた電気信号が心房から心室へと伝わっていく過程でうまく
伝わらず、心房より遅いリズムで心室が拍動する状態になります。障害の程度が軽いケースは、
自律神経の緊張などが誘因となります。程度の重いタイプは心筋梗塞、リウマチ熱などが
基礎疾患となっています。
・心房へ信号が伝わらない洞房ブロック
<症状>脈が2〜3秒停止する程度で自覚症状がほとんどありません。
この場合は治療の必要はありません。重度のときには、不整脈は頻繁に出現し、
めまいなどを伴います。
<原因>洞結節から発せられた信号が心房へ至らず、途中でブロックされて起こります。
自律神経の緊張、虚血性の心変化、洞結節付近の心筋の炎症などに合併して起こることも
あります。
・突然に不整脈が起こる洞不全症候群
<症状>突発的な動悸が起こり、胸苦しさを覚えることもあります。気が遠くなり、ときには
そのまま失神してしまうこともあります。主として徐脈性の不整脈の症状だけを示すものと、
徐脈性と頻脈性の不整脈の症状とを交互に示す徐脈頻脈症状群とがあります。
<原因>電気信号の発信箇所である洞結節およびその周辺で心筋症、虚血性心疾患、
リウマチ、老化そのほかによる脂肪変性が起こり、電気刺激がうまく伝わらないために
発生すると考えられています。
・危険なアダムス・ストークス症候群
<症状>急激な頻脈や心停止が起こり、脳への血流が不足するため、めまい、失神、
けいれんなど、脳性の発作を起こします。発作が回復しないと死に至るケースもあります。
<原因>異常頻脈、房室ブロック、頻拍性の心室細動、まれに心房細動、心房粗動など、
ほかの不整脈が誘因となるケースが多いようです。
検査と診断
心電図をとるのが基本
 まず何より脈をとります。乱れ方、飛び方を診ることで、どんな種類の不整脈か、ほぼ見当が
つきます。
 聴診器を当てているとき、たまたま不整脈が出ると、専門医ならそれだけでおおよその種類を
診断することができます。不整脈によって特徴的なリズムが現れるからです。
聴診器は、不整脈以外の弁膜症などの心臓疾患を発見する目的もあります。こうした疾患と
不整脈が合併することが多いからです。
 血圧を測定し、次にいつどんなときにどんな自覚症状が出たか、どのくらいの頻度で起こるのか、
あるいは運動のこと、喫煙習慣など、ライフスタイルについて、問診を受けます。
 以上の検査をすませたうえで、より正確な診断を下すために、次のような検査が行われます。
[心電図]
数分の検査中に不整脈をとられることは、まずありません。心電図をとる目的は心筋の肥大、
虚血性異常はないかというような心臓の異常を発見することが中心となります。
[胸部X線、心エコー図]
心臓の形に異常がないかを診るためにX線写真を撮ります。気がかりな影があれば、
心臓の画像がリアルタイムでテレビモニターに映し出されますので、診断の大きな手がかりと
なります。
[ホルダー心電図]
携帯できるテープレコーダー型の心電図記録計です。電極を胸にはりつけて心電図を記録します。
病院の心電図ではめったに不整脈をとらえることはできず、万一みつかっても安静時の
不整脈だけですが、半日あるいは24時間ホルター心電図をつけていると、労作性(活動時)の
不整脈をキャッチすることができます。
 記録された心電図を見ると、不整脈の種類や程度がわかります。
[電気生理学的検査]
不整脈の原因箇所や発生の機序(仕組み)を調べるために行われます。大腿部の静脈などから
細長いカテーテル(管)を入れ、心臓に到達させて、先端の電極に電気を通して心臓の反応を
みたり、心臓の電気的活動を記録解析します。つまり心臓から直接、心電図をとる検査です。
また先端孔からさまざまな薬剤を少量ずつ与えて、その反応をみることもできます。
不整脈の機序がわかり、治療法や薬剤を決定するうえで重要な指針になります。
ワンポイントアドバイス
頻拍発作を抑える方法
 上室性の頻拍発作が起こったときに、自分でできる応急処置があります。
発作が起こる予感がしたら、すぐに息をこらえ、洗面所へ行って顔を水面につけるといったように、
迷走神経を刺激すると治まることがあります。その際、しゃっくりを止めるときの要領で、
息をできるだけ長く止めて気張るようにするとうまくいきます。また、顔を水につけるときは、
できる冷たい水がよいでしょう。
 頻拍発作を抑える応急処置としてよく紹介されているものに眼球を押さえる、首の頚動脈で
脈のあるところをマッサージするなどがありますが、いずれも危険な場合があります。
水を使った処置で治まらないときには速やかに医師に診てもらいます。
治療
薬による治療が基本
 薬剤の服用が基本ですが、どれもよく効く半面、副作用も強いので、医師は処方に対して
慎重になります。発作頻度が多かったり治りにくいもの、薬を使用しづらい症例では、
機器を用いた治療法もとられます。
 まず行われるのは生活の見直しです。慢性的な過労、睡眠不足、精神的・肉体的ストレス、
心配事、コーヒーやタバコ、酒といった嗜好品のとりすぎ、さらに不整脈に対する過度の不安などが
誘因となりますので、そうしたことの改善で治まるとみられる軽度の不整脈なら、
そこからとりかかります。
[薬剤]
発作が重大な事態を招きかねない不整脈に対しては、薬剤が出されます。
 薬剤の数は多く、不整脈の種類、程度によって使い分けられます。不整脈を治療する
抗不整脈剤、高血圧などの治療薬でもあるベータ遮断剤、症状によって精神安定剤、
睡眠誘導剤などが使用されることもあります。
 以下、よく使用される薬剤の成分名(かっこ内は商品名)と、適応症、副作用をあげておきます。
ジソピラミド(リスモダン、ノルペースなど):最もよく使われる薬剤の一つで、心室・心房性頻拍、
上室性頻拍、発作性心房細動などに適応します。
 抗コリン作用により、ときに排尿障害、眼圧亢進、口の渇き、視調節障害が副作用としてあります。
プロカインアミド(アミサリン):使用歴史の古い薬剤の一つで、心室・心房性頻拍、
発作性上室性頻拍、発作性心房細動に使われます。胃部膨満感、食欲不振など消化器系に
副作用を起こすので、定期的に血液中の薬物濃度のチェックを受けましょう。
●メキシレチン(メキシチール):心室性不整脈の第一選択剤です。悪心、嘔吐、胃部の不快感、
唇周辺のしびれなどが副作用として現れることもあります。
ピルジカイニド(サンリズム):日本で近年開発された抗不整脈剤です。心室性の不整脈、
心房性頻拍に適応します。効果は高く、抗コリン作用、中枢神経への影響も弱く、臨床で使われる
ことが多くなりました。ただし、心筋梗塞後に長期間服用すると危険な例があるといわれています。
キニジン(硫酸キニジン):歴史の古い抗不整脈剤で、心房細動を取り除く効果に優れています。
入院時に投与されることが多い薬剤ですが、経験豊富な専門医が外来で使用することもあります。
比較的投与量が少量ですむので、重大な副作用の心配は少ないのですが、発熱、下痢、
耳鳴りなどが現れることがあります。
アジマリン(ギルリトマール、メラビトール):最近ではWPW症候群に伴う発作性の
上室性頻拍に対して使用されますが、副作用として肝機能障害を起こすことがあります。
●ジギタリス(ジゴキシン、ラニラピッドなど):強心剤として有名ですが、心房細動の薬剤としても
有効です。投与量が多すぎると、食欲不振、悪心、嘔吐、倦怠感、各種不整脈を併発することが
あります。
ジルチアゼム(ヘルベッサーなど):日本で開発されたカルシウム拮抗剤で、動脈血管を拡張し
血圧低下作用があるので、本来は狭心症の治療で信頼の高い薬剤です。
不整脈の治療に使用すると、房室結節に作用し、電気信号の伝導を抑制する作用がありますので、
発作性の上室性頻拍の治療、予防剤として有効です。
プロプラノロール(インデラル):自律神経のうち交感神経はカテコールアミンというホルモンによって
刺激を受けると心拍数が増します。この仕組みをブロックする作用をもつ薬剤をベータ遮断剤といい、
高血圧や狭心症の治療薬として非常に高い信頼を得ています。種類も多く、不整脈では一部の
心室頻拍、洞結節性の頻脈の治療に用いられます。
 息切れ、下肢のむくみ、気管支収縮作用、心不全症状などの副作用があるので、心不全や
気管支ぜんそくの患者には使用不可の薬剤です。
ベラパミル(ワソラン):カルシウム拮抗剤とよばれる薬剤で、虚血性心疾患の治療薬として
登場しました。房室結節に作用し、電気信号を抑制するので発作性の上室性頻拍の治療と予防に
広く使われています。重大な副作用は報告されていませんが、便秘になることがあります。
[カテーテル・アブレーション]
鼠径部の静脈からカテーテルを挿入して心臓に到達させ、直接心電図をとったり、薬剤を投与して
反応をみる電気生理学的検査をします。その結果、問題箇所が限定されれば、そこにカテーテルを
通して高周波を流し焼き切ってしまう治療法です。
 日本に導入されてまだ数年しかたっていませんが、世界的には広く用いられ、特に上室性頻拍の
治療では一番に選ばれる不整脈の治療法になりつつあります。
異常部分の機能を焼き切るため、成功すれば二度と頻脈は起こりません。
[ペースメーカー]
洞結節の異常による不整脈、房室ブロックなどの徐脈性不整脈があり、1分間に40以下に
心拍数が低下したり、もしくは3秒以上の心停止がある場合、死に至る恐れがあります。
交感神経を刺激する薬剤で心拍数を上げることはできますが、長期的に安定した効果を期待する
には無理があります。
 そこで安定した心臓の拍動を得るためには、天然のペースメーカーである洞結節に代わる
人工のペースメーカーを植え込むのが有効になります。具体的には電気信号発信装置、
リチウム電池を内蔵したジェネレーターを胸の皮膚の下に植え込み、鎖骨下の静脈を経由して
右心室に電極を差し込んで、信号を送り続けます。常にペースメーカーに頼らなければならない
人もいますが、昼間活動しているときは必要のない人もいます。
 最近のペースメーカーの発達は著しく、心拍が乱れたときに感知して、初めて作動するタイプも
登場してきました。
 植え込み手術は簡単で、電池にはフルに使用しても7年くらいはもちます。
[手術]
近年になって注目されている治療法で、心房細動に対して行われることがあります。この手術は
心房細動をとりまく信号経路のうち、異常信号となっている経路を迷路状に切開して縫合すること
により、不整脈の起こる原因を根治する療法です。現在適応範囲が検討されている段階です。
[植込み型除細動器(ICD)]
心室細動、心室頻拍などは放置すると心停止を併発し、死に至る場合があります。救命処置と
しては救急病院へかつぎ込んで電気ショックを与えて、心臓を蘇生する方法がとられます。
ICUは電気ショックを与える超小型の除細動器を胸に植え込んでおいて、心臓の動きが乱れたときに
自動的に作動する治療機器です。
 心室細動、心室頻拍などの自然予後は4年生存率で約25%と、4人のうち3人は亡くなって
しまうという成績ですが、ICD植え込み手術を施したアメリカの約2,500例の集計では、
10年生存率が70%と優れた成績を残しています。
 機器の構造、機能面でまだ未完成の部分があり、今後の改善が待たれています。
ペースメーカーと携帯電話
 ペースメーカーをつけた人は、原則的に健康なときと変わらない日常生活ができます。
女性では出産も問題はありませんが、日常生活を送るうえでは注意が必要です。特に問題に
なっているのが携帯電話です。埼玉医科大学の調査によると、デジタル型の携帯電話を通話状態に
して、ペースメーカーに接触させると、ペースメーカーの電気信号が消失する例が102件中2件
ありました。
 さらに6cm以上離すと異常は解消しましたが、心臓の電位には電磁波が原因と思われる
ノイズが現れたそうです。悪条件が重なると心臓の電気刺激がしばらく消失する可能性もあるので、
使用に際しては注意を呼びかけています。
 ほとんどの病院で携帯電話の使用を禁止していますが、その理由の一つは、こうしたペースメーカー
への悪影響を避けるためです。
予防
誘因をチェックする
 どの不整脈にもいえることですが、発作には根本的な原因とは別に、発作を誘発するいわゆる
危険因子がいくつもあります。誘因をチェックすることで、発作のリスクをかなり低減させることが
可能です。
 それには過去、発作が起こったのはどんな状況か思い出してメモをとります。たいていいくつもの
誘因が重なっているはずですから、それをもとに再発を予防することができます。
 一般的に誘因としては、過労、睡眠不足、肉体的・精神的ストレス、悩み、過度の喫煙・飲酒・
コーヒー摂取、運動などがあげられます。また、日常のなかでよくとるうつむき加減のポーズの
とき発作が起こりやすいといわれています。
 ただ誘因になるからといって、過度に節制をすると、それが新たなストレスになりかねないので、
過敏になるのは避けなければいけません。また、節制をしすぎると、生活に潤いがなくなり、
クオリティー・オブ・ライフ(生活の質)が低下しかねません。そこでどの程度なら大丈夫かという
見極めが必要になります。
 こまめにメモをとり、自分にとっての誘因事項の許容範囲を絶えず探っていく努力が必要です。
運動が好きな人は、運動負荷テストなどのメディカルチェックを受け、許可が出たなら、
事前にベータ遮断薬を飲んでおけば、水泳、テニスなども楽しめるようになるはずです。
まとめ
突然死を防ぐためにも不整脈に注意
 不整脈には、治療の必要なものと放っておいても大丈夫なものがあります。
健康な人にも不整脈はよく起こるので、以外に気楽に考えがちです。しかし、なかには心停止を
招いて、突然死に至るものもありますので、自分がどのタイプの不整脈なのかを知っておくことが
大切です。
 たとえ治療の必要がない場合でも、発作が起きないことに越したことはありません。
そのためにも誘因となる日常生活での注意事項を守るようにしましょう。

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