肥満症
健康に支障をきたし、あるいはその可能性のある病的な肥満は、
太る原因を突きとめ、減量が必要です。
| ヘルスチェック こんな症状に注意!! ・急に体重が増えていませんか? ・間食が習慣化していますか? ・脂肪食品が好きですか? ・朝食を抜くことが多いですか? ・夜食を食べていませんか? ・ダイエットを繰り返していませんか? ・運動不足ではありませんか? ・ストレスを解消していますか? |
| どんな病気ですか? 減量治療の必要な肥満 国民栄養調査によれば、1960年代以降の日本人のエネルギー摂取量は横ばいというより、 減少傾向を示しています。しかし、それはあくまで全体としてのデータで、全世帯のうち およそ4分の1の家庭が1日に必要エネルギー所要量を20%以上も上回っています。 エネルギー摂取量の内訳では、糖質の摂取量は年々減っていますが、脂肪の摂取量は 増えつづけており、成人の3分の1が1日の所要量を超えて摂取しています。 こうしたことは、肥満判定基準のBMIを調べた調査でも、はっきりと反映されています。 それによるとわが国では、肥満と判定されるBMIが26以上の肥満者の占める割合は、 男性が11.9%、女性が12.3%となっています。実に男性の8人に1人、 女性の6人に1人が肥満者であるというわけです。 では、肥満とは、どういうことを意味しているのでしょう。通常、肥満とは体重の増えた 状態をいいますが、厳密には脂肪組織の量の増大を指します。したがってレスラーなど スポーツマンで筋肉が増加したために体重が増えていても、肥満とはいわずに 過体重といいます。 いずれにせよ、肥満は脂肪が過度につきすぎた状態をいいます。たとえ健康上、 何の問題がなくてもBMIが30以上なら、肥満症として減量をするべきです。 そのまま放置すれば将来、健康障害が起こりやすいことがわかっているからです。 BMIで肥満と判定され、すでに高血圧、糖尿病、関節障害などの病気が併発していれば、 減量治療が必要な生活習慣病としての肥満症となります。 |
| 判定 数式による方法と計器を用いる方法 肥満症を判定するには、脂肪がどれくらい過剰に蓄積されているかを、計器を用いて正確に 測定しなければなりません。しかし大がかりであったり、手間がかかったりすることが 多いので、計算による方法と、簡単な計器を使った方法が用いられています。 ・計算による方法 計算式による方法で昔から有名なのが、ブローカ指数の桂変法です。 桂変法による標準体重=(身長cm−100)×0.9 肥満度=(実測体重ー標準体重)÷標準体重×100 +10%までを正常、+20%未満までを肥満傾向、+20%以上を肥満とします。 しかし、低い身長では肥満とされやすく、高い身長ではやせすぎとされやすいという 欠点があります。 そういった欠点の少ないのが、体格指数(body mass index=BMI)とよばれる 計算式です。この指標は、国際的に使われていて、体脂肪量とよく相関するとされています。 日本肥満学会では、BMIの計算式を応用し、さらに簡単に肥満度を出せる算出法を 定めました。これが標準体重を用いて計算する方法です。 また、からだのどの部分に脂肪が蓄積しているかによって、肥満の形態を上半身肥満 (りんご型肥満)と下半身肥満(洋梨型肥満)とに分類することができます。 特に上半身肥満は皮下脂肪より内臓脂肪(腹腔内の脂肪)が増え、糖尿病や高血圧、 高脂血症を起こしやすく、危険な肥満と考えられています。 ・計器を使った測定 脂肪量を測る最も正確な方法は水中計量法(体密度法)です。これは、被験者を裸で 水中に沈めて、そのときの体重を求め比重を計算して体脂肪総量や体脂肪率を出す 方法ですが、大がかりな設備が必要なので、一般的にはあまり行われていません。 そこで、より簡単に肥満を判定する方法として、皮脂厚計による測定や生体インピーダンス法、 CT法、近赤外線法、二重X線呼吸法(DEXA法)などによる計測が普及してきています。 また、ご家庭で簡単に測れる体脂肪計なども普及してきています。 |
| 原因 単純性肥満と症候性肥満 肥満はその原因によって、二つに大別できます。 ・原発性肥満(単純性肥満) 過食によるエネルギーのとりすぎや運動不足によって起こる肥満です。肥満の90%以上を 占めます。 過食になる理由にはいろいろあります。食物が吸収されて血糖や脂肪が増えると、 ホルモン様物質が増加し、満腹感も覚えます。ところがこのホルモン様物質の増え方が 少なかったり、満腹中枢が増えたのを感知できなかったりすると、いつまでも満腹にならず、 食べ続けることになります。 食べ物の嗜好の偏りも肥満の原因となります。例えば炭水化物やたんぱく質は1g当たり 4kcalのエネルギー量ですが、脂肪は1g当たり9kcalにもなります。 脂肪の多い食べ物が好きな人は、同じ量を食べても太りやすいわけです。 早食いも、満腹中枢が働く前にたくさん食べてしまうことにつながりますので、肥満のもとです。 運動不足は単に消費カロリーが少ないということより、インスリンの働きを低下させて、 脂肪合成能力を高めてしまい、脂肪の体内への沈着を促進し、結果的に肥満を招きます。 むしろ、こういった弊害のほうが大きいとされています。 親から太りやすい遺伝因子や生活環境を受け継ぐことによって肥満になります。 一卵性双生児で一方が太っていると他方が太る確率は70%と高いのですが、成人すると 約30%に低下するという報告も出されています。こうしたデータから肥満は遺伝的な要因だけ でなく、環境的な要因も大きく作用するといえるでしょう。 同じ家族に太った人が多いのは、食べ過ぎや運動不足ぎみといったライフスタイルを 継承してしまうからではないかといわれています。 ・二次性肥満(症候性肥満) 病気があって、そのために起こる肥満を二次性肥満(症候性肥満)といいます。 基礎疾患によって、肥満と同時にさまざまな症状が出ます。 [視床下部性肥満] ものを食べたいという欲求をつかさどる摂食中枢、おなかがいっぱいだという指令を出す 満腹中枢はいずれも脳の視床下部にありますが、ここが腫瘍や外傷などによって圧迫されたり 傷ついたりすると、摂食欲求や行動のコントロールが利かなくなり、肥満になります。 視力障害、視野欠損、頭痛、嘔吐などを伴います。 [内分泌疾患性肥満] コルチゾールという副腎皮質ホルモンが分泌過剰になって、食欲亢進などが起こると 考えられているクッシング症状群、甲状腺ホルモンの分泌不足あるいは作用不足のために エネルギー代謝機能低下をきたす甲状腺機能低下症、インスリンを分泌する膵臓の β細胞に腫瘍が発生して分泌異常をきたすランゲルハンス島腫瘍などの病気はいずれも 肥満につながります。 クッシング症候群は丸い顔、多毛、無月経など、甲状腺機能低下症は皮膚の乾燥、 脱毛といった特徴があります。ランゲルハンス島腫瘍は動悸、冷や汗、顔面蒼白などの 低血糖症状が起こり、それを予防するために頻繁に食べるようになるので肥満になります。 [遺伝性症候群による肥満] 染色体の異常によってさまざまな症状がでることがありますが、その一環として肥満に なります。低身長、知能障害、運動機能の遅れなどを特徴とします。 [薬剤性肥満] 副腎皮質ホルモンや経口避妊薬などの使用が原因のものです。 [アルコール性肥満] 酒などアルコールの過度な摂取によって、肝臓の脂肪代謝機能が影響を受けることがあります。 |
| 問題点 合併症を起こしやすい 肥満症が何よりも怖いのは、合併症をもたらしやすいという点です。 標準体重の人と比較してみると、肥満と判定された人の疾患別の発生率は、 変形性膝関節症などの関節障害が1.5倍、心臓血管障害が2倍、高尿酸血症・痛風が2.5倍 胆石と不妊症が3倍、高血圧が3.5倍、糖尿病が5倍といわれています。 また、以前は肥満とあまり関係がないとされてきたがんについても、肥満者には発生率が 高いと指摘されています。女性では子宮体がんや卵巣がん、乳がん、男性では前立腺がん、 男女に共通して大腸がん、胆のうがんが合併しやすいという報告が出されています。 がんによる死亡率との関係をみても、肥満度が20%を超えると死亡率は標準体重者の 1.2倍、40%を超えると1.5倍、50%以上では2倍になるという報告が出ています。 |
| 検査 医学的に治療が必要か否かを判定 肥満症の診断では、医学的に治療が必要かどうかがポイントとなります。そのためには、 まず肥満かどうかを判定します。体重が標準体重の20%以上、あるいはBMIが26.4以上で あれば肥満と診断されます。次に肥満に基づく代謝異常、循環器疾患、呼吸器疾患、 整形外科疾患などがないかを調べます。一つでも異常が発見されれば、治療の必要な 肥満症となります。 現在は合併症がなくても、CTスキャンなどの検査により内臓脂肪型肥満と判明すれば、 将来合併症を引き起こす可能性が高いとして肥満症と診断されます。 |
| 治療 食事療法と運動療法の2本柱 症候性肥満に対しては、まず基礎疾患の治療を行います。単純性肥満の治療は 食事療法と運動療法が基本となります。 ・食事療法 肥満度が高いほど食事制限は厳しく、長期間行わなければなりません。しかし、心臓や 肝臓の合併症がある場合、食事制限を厳しくできない場合もあります。 [減食療法] 普通食ですが、メニューを工夫して糖尿病食に近づけます。1日1.200〜1.800Kcalまでに 抑えます。半年前後を目標に減量値を設定します。 [低エネルギー食] 1日600〜1.200kcalが指示されますが、強い意志と忍耐が必要です。家族や同僚の 理解も不可欠です。ビタミン不足に備え、総合ビタミン剤を服用します。砂糖と油脂の使用は 制限されます。アルコールも厳禁です。これを守ることができれば、3ヶ月で10kg程度の 減量が可能です。 [超低エネルギー食] 1日200〜600kcalが指示されます。たんぱく質を主体とした特別食を用います。 以上の食事療法を実施するまえには、必ず次のような手順を踏みます。 食事療法とはどういうものか、いつまでにどれくらい減量するか、管理栄養士が医師の指示に 従って栄養指導をしながら、その人に合った内容を設定していきます。栄養指導では、 性別、年齢、職種などによって1日の摂取エネルギー量を決めます。次に食品交換表などを 使って、食品の選択やエネルギーの計算法を指導します。 さらに、各栄養素の役割を必要摂取量、好ましい食品や避けるべき食品、調味料などについて 詳しく説明します。また、外食する際の注意点を挙げたり、正しくない食習慣を修正したり、 食事の回数や時間などのチェックをします。こうしたことを患者本人が理解して はじめて食事療法が成功します。 ・運動療法 どんな運動をどれくらい続けるかを医師と相談のうえ決めます。動きの激しい種目は 時間的に長続きせず、グリコーゲンが燃えるだけで適当ではありません。 15分以上継続でき、脂肪の燃える中程度、軽度の運動が適しています。そのときの目安となる のが心拍数です。心臓がフルに稼動する最大心拍数の50%程度の運動がよいと されています。 20〜30代では1分間に130程度、40〜50代では120、60〜70代では110が 一応の目安です。種目でいえば、ジョギング、水泳、水中ウォーキング、自転車、 ウォーキングなどの有酸素運動です。 運動による効果はエネルギーの消費が第一に挙げられますが、最近の研究では 基礎代謝の増加、脂肪合成の抑制、インスリン感受性の向上といった側面のほうが 肥満解消・予防効果としては重大であるといわれるようになりました。 具体的にどれくらい減量できるかは、食事療法との兼ね合いがあり、人によって 違いがあります。1回の運動で得た効果は3日以内に低下し、1週間でほとんど消失するので、 運動の頻度は最低でも週3回とします。なお運動療法を行ってはいけないのは、一部の 高血圧、不整脈、心臓肥大などの症状のある人たちです。 運動療法も食事療法も、早期に行えば行うほど効果的で、楽に実行できるといわれています。 ・行動(修正)療法 肥満症はその人の食習慣、生活環境、精神的要因などさまざまなものが影響しあって 発症します。肥満症の治療の真の目的は体重の減少だけでなく、その体重を維持する 適切なライフスタイルの確立にあります。そこで、1960年代末から肥満治療に導入 されてきたのが行動(修正)療法です。 具体的には、食事の時間、場所、内容などをノートに詳しく記載し、それをカウンセラーが 分析し、過食を引き起こす要因を突きとめ、患者に認識させたうえで、食行動を矯正していきます。 ・薬物療法 肥満治療の基本はあくまでも食事療法と運動療法です。しかし、その実行はかなり大変です。 そこで、食事療法や運動療法で満足な結果が得られない場合、補助的に薬が用いられる ことがあります。 現在使われているのは、食欲中枢の抑制と満腹中枢の刺激を行うことで食欲を抑制させる 薬や、腸管からの糖質の吸収を抑制する薬、ストレス過多や自律神経異常による肥満症の 人に用いられる自律神経調整剤などがあります。 ・外科療法 あらゆる手段を使っても高度の肥満を是正することができない場合には、最後の手段として 外科療法がとられます。この場合、肥満度が200%(BMI44)を超える人や合併症が重い 人などが対象になります。食物が胃に入る容量を少なくする胃縮小手術が行われます。 |
| 予防 胎児期からの注意が必要 肥満の90%を占める単純性肥満では、食習慣や摂食パターンの異常が大きな要因に なっています。したがって、肥満を予防するには、正しい食習慣や摂食パターンを身につける ことがポイントとなります。 脂肪細胞に視点を当てて肥満をみると、脂肪細胞の数が増える脂肪細胞増殖型と 脂肪細胞そのものが肥大する脂肪細胞肥大型とに分けられます。脂肪細胞の増殖は 妊娠末期の3ヶ月間の胎児期、生後1年までの乳児期、そして思春期の3回の時期に 集中しているといわれています。そうしたことを考えると、肥満症の予防は、成人や乳児期に すればよいというものではなく、妊娠中からスタートするべきだといえます。 それには、妊娠中の体重増加は10Kg以内にとどめるようにします。乳児はできるだけ 母乳で育てましょう。母乳栄養で育った子どもは粉ミルクで育った子どもよりも肥満する傾向が 少ないといわれています。 人間の食習慣や摂取行動は、乳児期における家庭や社会からの影響を大きく受けます。 したがって、乳児に正しい食習慣を身につけさせることは、肥満予防のうえで非常に重要です。 それには次のようなことを心がけましょう。 ・毎日、食卓にのせる食品の選択については、テレビCMに影響されやすい子どもの希望に 振り回されず、家族それぞれが1日に必要な栄養素の所要量をもとに選びます。 ・満腹感の得にくい菓子、清涼飲料水などを間食として与えないようにします。 ・食べ物で子どもの機嫌をとるようなことは厳に慎みたいものです。 食生活の習慣を子どものうちに身に付けておくことは将来的にもプラスになります。 ストレスの多い現代人では人生の失敗、挫折に対しての精神的抵抗力が弱くなっていると いわれています。ストレスを発散するために、つい食べてしまうということになりがちです。 過食をしない、栄養バランスのよい食事をとる、適度な運動をする、ストレスをためないと いったことは肥満症だけでなく、生活習慣病の予防にもなるので、ぜひ実行したいものです。 |
| まとめ 体脂肪にも気を配ろう 現代人は概してやせたい願望が強く、体重を過敏に気にする傾向があります。 しかし、体重だけで太りすぎややせすぎを判定するには限界があります。肥満の判定には、 あくまでも体脂肪の量が問題となってきます。最近では家庭で測定できる体脂肪計も よく出回っていますので、利用するのもよいでしょう。 肥満防止10か条・・・・・ 1、1日3回、一定の規則正しい時間に間隔をおいて食べる。 2、早食い、どか食い、ながら食いをやめる。 3、ゆっくり手間をかけて調理する。 4、手の届くところに食べ物を置かない。 5、おかずの大皿盛りをやめ、食べる分だけを皿に盛る。 6、空腹時には買い物に行かない。 7、自分の写真や鏡を見ながら食べる。 8、情緒を安定させる。 9、食事時間、場所、内容を記録する。 10、毎日決まった時間に体重を測り、記録し変化をみる。 |
| ひとり言・・・・・ テレビや雑誌でダイエット商品やダイエット法をよく紹介していますが、間違ったダイエット法に 飛びつかないことです。ダイエットを始めてすぐ、もしくは数日で体重が減ったという宣伝に つられて飛びつくケースが多いのですが、ダイエットを始めると体内の水分が失われますので、 体重は減少します。しかし、体内の水分と体脂肪が減るのはまったく別のことです。 体脂肪が減るのは少なくとも週単位でしか確認できません。注意しなければいけないのは、 ダイエットで体重が減っても脂肪組織だけが減るのではなく、筋肉も減るということです。 1回やせてほっとしてまた食べ始めると脂肪組織は増えますが、筋肉は減ったままです。 つまり、ダイエットに失敗してリバウンドする回数が多いほど筋肉が減り、脂肪太りの 中高年の体型になるのが早まるだけです。もう一つ注意しなければいけないのが、食事の量を 減らしても、からだの防衛機能として、生命活動を維持する基礎代謝量が低下するので、 節食したわりには効果が伴わないことです。2,000Kcalだった摂取量を1,800Kcalにしても、 人によってはほとんど効果が上がらないのはこのためです。 ただ単に体重を落とすだけなら、「食べない・寝ない」で体重は減りますが、 かぜをひきやすくなった。肌がガサガサで艶がなくなった。など健康と美容面で問題があります。 店頭でもよく耳にしますが、ダイエット補助食品だけ飲んでいれば、飲んだその日から 右肩下がりで痩せれる!と思っている人がほとんどです。ダイエット中には停滞期というのがあり、 階段のようにしばらくは停滞期があり体重が減る、停滞期があり体重が減る、というのが 本当です。停滞期にがまんして、続けられるかどうかが成功へのポイントだと思います。 運動療法を組み合わせて、健康的にダイエットしましょう。 |
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