片頭痛・緊張型頭痛
慢性の頭痛は多くの人が悩まされる症状で、繰り返し起こりますが、
特に原因となる病気のない片頭痛、緊張型頭痛が大多数を占めています。


どんな病気ですか?
頭痛の多くは特に原因疾患がない
 頭痛は頻度の高い症状です。男性よりも女性のほうが頭痛に悩まされる傾向があり、頭痛を経験したことのない
女性は、わずかに4%しかないという調査があります。
 頭痛には、いくつかの種類があり、特に原因となる病気が見つからないのに頭が痛む機能性頭痛と、
かぜなどの感染症をはじめ、脳腫瘍や頭蓋内出血といった病気が原因となって痛む器質性頭痛の二つに分けられます。
 機能性頭痛は頭痛全体の8割程度を占め、残りがさまざまな原因をもつ器質性頭痛です。
・病気が原因でない機能性頭痛
 原因疾患のない機能性頭痛の代表が片頭痛と緊張型頭痛です。頭が痛いときは、頭の内部にある脳が
痛むかのように感じられますが、現実には脳自体が痛むことはなく、脳が痛みの原因になることも、多くありません。
大多数は、頭蓋骨の外側にある筋肉や皮膚、頭蓋骨の内側で脳を包んでいる膜や頭部の血管から発生する痛みです。
 片頭痛は、脳の血管や頭蓋骨の外側の血管が異常に収縮したり拡張したりした結果起こり、ずきんずきんと
脈打つような痛みが特徴です。
 片頭痛を起こすのは日本人の15%ほどで、頭痛全体の25〜30%にあたるとみられていて、男女比では女性が
男性の3倍に上ります。10〜20代で発症することが多く、30代にピークを迎えて、以後は徐々に減っていき、
高齢になると少なくなります。
 緊張型頭痛は、頭部の筋肉の緊張によって発生します。後頭部から首のあたりがコチコチにこって、
頭全体がしめつけられるような感じがします。
 頭痛の約50%は緊張型頭痛で、最も一般的な頭痛といえます。やはり女性に多い傾向があり、
年齢的には中年以降に多くみられます。
 いずれも繰り返し起こる慢性型の反復性頭痛ですが、重大な病気に移行したり、生命にかかわることはありません。
また、片頭痛と緊張型頭痛の混合型頭痛もみられます。
 ほかに機能性頭痛としては、数は少ないものの、群発性頭痛があります。中年の男性に多くみられ、
目の奥が激しく痛みます。痛みは夜間に起こる事が多く、10日間から2〜3ヶ月ほど、毎日一定の時間に現れ、
数年おいてまた発作におそわれるのが特徴です。

片頭痛の症状と原因
前兆のあるなしで二つのタイプ
 激しいズキズキする痛みに加えて、吐き気や嘔吐などのさまざまな症状が現れるのが片頭痛の特徴です。
・典型的片頭痛と普通型片頭痛
 午前中に痛みが始まる場合が多く、1〜2時間で激しい痛みとなり、数時間から、人によっては3日間程度
持続します。頭の片側が痛むことが多いのですが、両側性の片頭痛もみられます。
 片頭痛には二つのタイプがあります。前兆のある典型的片頭痛と前兆のない普通型片頭痛です。
典型的片頭痛では、頭痛に先立って視覚性の前兆が現れます。目に稲妻が光ったり、星型に光るものが見えたり、
あたりがキラキラ光っていたりという神経症状で、視野が狭くなったり、霧がかかったようになったり、物が二重に
見える場合もあります。視覚性以外の前兆として脱力感や半身のしびれなどを伴う場合もあります。
このような状態が15〜30分ほど続き、一般にはその後片頭痛が起こります。
 また、どちらのタイプの片頭痛にも予兆として、情緒不安定やうつ状態、傾眠、あくび、空腹感、口渇感、急に
甘いものが食べたくなるなどの変化がみられることがあります。
 片頭痛は症状が頭痛だけにとどまらないために、経験した人の多くは不安を覚えますが、重大な病気が
原因となってるわけではないので心配はありません。
・血管の拡張が片頭痛の引き金に
 脳や頭蓋骨の外にある血管がまず異常に収縮し、その後、緊張して痛みが生じます。原因については
脳内のセロトニンという神経伝達物質が増加すると血管が収縮し、その効果がなくなると血管が拡張する
という説がありますが、ほかにも色々な説があり、まだ確定されていません。
 脳の後頭葉の血管が何らかの原因で収縮すると、血流が低下し、この時期に片頭痛の前兆が現れるとされています。
続いて血管、特に動脈が緊張すると痛みが起こります。血管が広がると、血管の壁が張った状態になり、
神経の末端が刺激され痛みが伝わります。脈打った感じで痛むのは、心臓の拍動に合わせて血管が拡張するからです。
 片頭痛の発生には、さまざまな引き金があります。例えば、よく人込みで片頭痛を起こす人がいますが、
これは混雑して空気の悪い所にいると酸素が欠乏し、脳にたくさん酸素を取り込もうとして血管が広がるからです。
 また、女性の場合は、月経周期に関連して片頭痛に悩まされることがあります。
月経前、あるいは月経中に片頭痛が多いのは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の影響で
血管が拡張するためです。

片頭痛の診断基準
 片頭痛には、痛みの持続時間や、痛みの状態を規定した国際的な診断基準があります。
また、典型的片頭痛は、その特徴である片頭痛が起こる前の前兆について診断基準が定められています。
一般にはこの前兆に続いて頭痛が始まりますが、頭痛の症状は普通型片頭痛と同様です。
・普通型片頭痛
1、頭痛は4〜72時間持続
2、次のうち少なくとも2項目に該当する
  頭の片側の頭痛
  拍動性
  日常生活に支障がある程度の痛み
  日常動作により頭痛が悪化
3、頭痛発作中に次の少なくとも1項目がある
  吐き気あるいは嘔吐
  光あるいは音に敏感
4、次のうち少なくとも1項目にあてはまる
  器質的疾患が否定できる
  器質的疾患が疑われても検査で否定できる
  器質的疾患があっても頭痛との関連はない
・典型的片頭痛
1、一過性の前兆があり、これが脳の
  神経症状として考えられる
2、前兆は4分以上持続し、2種類以上
  の前兆があってもよい
3、1種類の前兆は60分以上持続する
  ことはない
4、頭痛は前兆より60分以内に生じる。
  前兆よりも前、あるいは同時に
  起きてもよい



国際頭痛学会の基準による

平考臣著 「頭痛 痛みの正体と治療」
           (新星出版社) より

緊張型頭痛の症状と原因
痛みの悪循環を繰り返す
 あるゆる頭痛の中で、最も頻繁に起こるのは緊張型頭痛です。
・しばしば肩こりや首の痛みを伴う
 後頭部から首筋のあたりが重く、こった感じになって鈍痛がし、ひどくなると頭全体が締め付けられるように痛み、
吐き気を伴うこともあります。頭蓋骨を包む筋肉や頸部の筋肉の緊張によって起こり、鈍く重い感じの痛みが
特徴で、頸部の筋肉の痛み、肩こり、めまいなどの訴えが多くなります。
 朝起きた直後よりも、活動を開始した日中から夕方にかけて悪化し、睡眠をとると改善するパターンが多いです。
雨や曇りの日にひどくなることもあります。
・姿勢やストレスが影響
 緊張型頭痛は、頭部や頸部の筋肉が異常に収縮して起こります。
筋収縮の原因は、頭部の打撲や、むち打ち症状の場合もありますが、多くは、姿勢からくる筋肉の緊張や
運動不足による筋肉のこり、精神的なストレスが影響しています。
 筋肉が収縮すると、血行が悪くなって疲労物質や痛みの原因となる物質がとどこおり、痛みがひどくなっていきます。
いったん痛みが生じると、痛みが刺激となってさらに筋肉が収縮し、悪循環を繰り返します。
そのまま放置すると治りにくく、いつまでも頭痛に悩まされることになります。
 精神的なストレスが頭痛を起こすのは、ストレスが加わると、頭から首にかけての筋肉が収縮して首を
締め付けようとする働きが生じるためです。
 緊張型頭痛になりやすい人は、律儀できまじめで、融通がきかない、物事を悪い方へ考えるマイナス思考、
努力家、完璧主義などの傾向がみられるとされています。いずれもストレスをためやすい性格といえます。
 このほか、目の疲れや作業時の姿勢の悪さ、椅子の形態、高すぎる枕など、筋肉に緊張を強いる生活習慣も、
大きく影響します。
 体形的には、頭が大きく首が細く長いと、首に負担がかかり筋肉が緊張しやすくなります。女性は、重い頭を
支える首の筋力が弱いため、肩がこりやすく、緊張型頭痛を起こしやすいといわれています。
なで肩も、肩に力が入りやすく、頭痛の誘因の一つです。

片頭痛の治療
予防薬と発作時の薬を使い分ける
 発作が起きている間は、暗い静かな部屋でじっとしていると、少し痛みが楽になる人が多いようです。
ほんの短時間でも睡眠がとれると頭痛は改善します。
 薬物療法では、一般的な頭痛薬はあまり効果がなく、血管を収縮させる薬が使われます。
片頭痛が起こる頻度によって、薬の使い方も異なり、1週間に何度も発作的に起きるような場合には、予防薬を使います。
 片頭痛に予防効果があるとされる薬には、いろいろありますが、予防薬といっても、これらの薬で片頭痛発作が
完全に抑えられるわけではありません。また、連用による副作用の心配もあるため、発作が年に数える程度であれば
予防薬は使わず、発作が起きた時に薬を使います。
 発作が現れたときには、エルゴタミン製剤(カフェルゴット、クリアミンAなど)がよく使われます。
カフェインを併用する場合もあります。
 エルゴタミン製剤は、片頭痛の起こり始め、あるいは前兆時に効果を発揮する薬なので、いつ頭痛が始まっても
対処できるように薬を常にもち歩くと、有効に使用できます。
 ただし、エルゴタミン製剤を長期連用すると、かえって片頭痛がとれなくなることが指摘されています。
いったん中毒になると治療が難しくなるため、使用頻度は、多くても1週間に2回程度までとされています。

緊張型頭痛の治療
筋肉の緊張をほぐすことが大切
 疲労やストレスからくる筋肉の緊張が原因となるため、緊張を取り除くことが治療になります。
薬による治療は補助的に行います。
 治療法としては、鎮痛剤のほかに筋肉をほぐす薬、精神安定と筋肉をほぐす薬などを使う場合もあります。
しかし、根本となる原因が取り除かない限りは頭痛を繰り返すことになります。頭痛は、首筋の後の筋肉(後頚筋)や
僧帽筋、背筋など、多くの筋肉によって支えられています。首筋の筋肉のこりをほぐして、血行をよくするのが
緊張型頭痛の予防と治療の基本です。
 いつも猫背で、力の入らない楽な姿勢をとっていると筋肉が衰えて、こりや痛みが生じやすくなります。
背筋を伸ばしてよい姿勢を保つだけで、筋肉が鍛えられ、頭痛の改善に役立ちます。適度な運動を生活に
取り入れることも効果的です。家事や仕事の合間に、軽くストレッチをするだけでも、効果があります。
頸部の筋肉をほぐす、頭痛体操を普段から実行していると、頭痛の予防になります。
 体形的な問題が影響している場合、解決は簡単ではありませんが、首の筋肉を鍛えることは可能です。
女性では特に首の細い人が多いので、筋肉をほぐすと同時に、首を鍛える体操を心がけて頭痛を予防しましょう。
また、顔にぜい肉がつくと、首の筋肉への負担が増しますので、太りすぎにも注意しましょう。
 ストレスは緊張型頭痛の重大な誘因ですから、ストレスをためないように発散することが大切です。
ストレスの原因を突きとめ、解消するには難しい面もありますが、1日に短時間でもリラックスできる時間を持ちましょう。
 カラオケ、スポーツなど自分の好きなストレス解消法を見つけることです。ゆっくりと湯船につかったり、
適度にアルコールを飲むこともリラックスするためには有効です。
 また、くよくよしないで、あまり周囲に気をつかわず、できるだけ気楽にすごすようにします。
マッサージや、低周波治療、鍼治療、温泉など、こりをほぐしてリラックスを促すことも有効です。

頭痛のタイプを知って上手に付き合う
 頭痛には何らかの病気が原因のものもありますが、ほとんどは特に原因疾患のないもので、心配ない頭痛です。
しかし、頭痛の原因がわからずに不安な状態が続くと、それ自体がストレスになって頭痛を悪化させることがあります。
 大切なのは、命にかかわるような危険な頭痛かどうかの鑑別です。そのためには、いつもと違う頭痛だと思ったら、
迷わず医師の診察をうけて下さい。
 危険な頭痛の心配がなければ、ふだんの生活のなかで頭痛を引き起こすような習慣を、できるだけ除くようにします。
特に片頭痛は改善が難しいので、どんな時に発作が起きるのか、またどうすれば楽になるのか特徴をつかみ、
うまく付き合っていく方法をみつけましょう。


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