アルツハイマー型痴呆
根本的な治療法はありません。薬物療法で精神の安定をはかりながら、
温かい心づかいで支えてあげましょう。
どんな病気ですか?
脳が萎縮し、痴呆症状が現れる
脳の器質的な変化により、知能が低下した状態を痴呆といいます。痴呆には大きく分けて2種類あり、
1つは脳血管性痴呆、もう1つがアルツハイマー型痴呆です。両方が混合したタイプもあります。
老年期の痴呆患者は全国で焼く100万人で、65歳以上の人のうち4%前後が、痴呆患者と推定されています。
また、痴呆患者のうち約3分の1が、アルツハイマー型痴呆といわれています。
脳血管性痴呆は、脳出血や脳梗塞によって、脳の特定の部位が障害されたり、小さな梗塞巣が
たくさんできることから起こりますが、アルツハイマー型痴呆の原因は、まだわかっていません。
ただ、アルツハイマー型痴呆で亡くなった人の脳を調べると、大脳が萎縮し、神経細胞が固まって
線維化していて、老人斑とよばれる脳のシミがみられます。脳神経細胞が徐々に死んでいき、
脳の萎縮が進行する病気と考えていいでしょう。
アルツハイマー型痴呆は、1907年、ドイツの精神医学者A・アルツハイマーが、進行性の痴呆を特徴とする
女性患者について報告したことで、名づけられました。
欧米では痴呆患者のうちの約3分の2がアルツハイマー型痴呆です。
日本でも患者が増える傾向にあります。
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| 症状 CT検査により消去法で判別 物忘れや記憶の混乱など痴呆の初期症状は、脳血管性痴呆、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、 脳腫瘍などでもみられます。そこで、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴映像法)で 検査をして、他の病気を調べます。ほかの病気が見つからない場合は、アルツハイマー型痴呆と 判別します。 また、遺伝子異常が原因で比較的若いころから痴呆症状が出る場合、「アルツハイマー病」といって、 アルツハイマー型痴呆と区別する場合があります。 ・診断のポイントは記憶障害・見当識障害 まず、記憶障害が診断のポイントになります。記憶には新しいことを覚える”記銘力(短期記憶)”と 生年月日、出身地、職業などを覚えている”長期記憶”があります。アルツハイマー型痴呆では、 このどちらにも障害が起き、日常生活に著しい問題が生じます。 また、今何時か、自分がどこにいるのかといった”見当識”とよばれる能力がなくなるのも特徴です。 洋服をうまく着ることができないなど、行動が正しく行えません。これを”失行”といいます。 目の前にあるものがわからないなどの”認知障害”も起きます。さらに悪化すると、性格が変化し、 自分勝手な言葉を繰り返したり、あらゆることに無関心になったりして、無欲、無動状態になります。 以上のような脳の中心的な機能の障害(中核症状)の結果として、徘徊、不安・興奮・うつ状態、 過食、失禁、夜間の異常行動といったさまざまな周辺症状も起こってきます。 治療 対症療法では薬物療法が有効 根本的な治療法がないので、対症療法が中心です。興奮、夜間の異常行動、抑うつ気分といった 周辺症状に対しては、薬物療法がある程度効果を発揮します。 精神的な興奮が強い場合は精神安定剤、夜間の異常行動に対しては入眠剤、抑うつ薬を使います。 情緒の安定を目的にしたビタミンB12の注射療法、睡眠・覚醒のリズムを調整するために 強い光を浴びせる光照射療法、人生の懐古を刺激とするインタビュー療法なども試みられています。 介護や生活環境の工夫で、痴呆の進行を遅らせることも重要です。 それは患者だけでなく介護する人の生活を助けることにもなります。 患者の生活の質を考えて アルツハイマー型痴呆は、いまのところ治療薬がありませんが、患者の生活の質を考え、 いたわりの気持ちで介護することにより、病気の進行を遅らせることが大切です。 また、夜間の異常行動など周辺症状に対しては、薬物療法を用いて、介護する側が 疲れてしまわないようにするとよいでしょう。 |
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| 症状と介護・・・ アルツハイマー型痴呆は、人の精神機能をつかさどる大脳皮質の神経細胞に病的変化が現れ、 やがて神経細胞が死滅してしまう病気です。大脳皮質のさまざまな部分に発生しますが、 とくに認知や判断、記憶、感情、読み書き、言語理解などの部位に病変が起きやすく、 発生部位によって異なった症状が現れます。 ・今聞いたことが思い出せない:記憶力障害 [症状]知っているはずの地名や人名が思い出せない経験は誰にでもあるが、たった今聞いたことが 思い出せない、あるいは忘れてしまう。同時に、物の順序の記憶もできなくなる。 [介護]初期段階では、患者にとって大変なストレスで、不安や焦燥感、抑うつ気分などに 陥りやすいので、障害を指摘しないこと。病気が進行すると、記銘力障害であることを感じなくなるので、 過去の記憶を繰り返し思い出させたり、積極的に話しかけることで、周囲に関心を持たせるようにします。 ・今いる場所がわからない:空間見当識障害 [症状]自分のいる場所がわからなくなる。よく知っている場所でも迷ったり、近所に出かけたまま 帰れなくなったりする。症状が進行すると、自宅のトイレに行くのにも迷ってしまう。 [介護]放置すると行動範囲が狭くなり、焦燥感や抑うつ気分の原因になります。 患者の部屋やトイレに目印をつけるなど、なるべく自分で行動できるように工夫する必要がある。 ・時間の概念がわからない:時間見当識障害 [症状]時間の概念が理解できなくなり、記銘力障害も重なって、ご飯を食べた直後に 「ご飯はまだか?」といったりする。 [介護]毎日の生活にメリハリをつけ、規則正しい生活を送ることが大切です。 季節ごとの行事を用意し、なるべく季節感をもたせるようにします。 ・目の前の物がわからない:視覚認知障害 [症状]眼球を垂直方向に動かさないため視野が狭くなり、注視点がかたよるために、 目の前の物もよくわからかったりする。 [介護]患者の部屋やトイレに、なるべく目線の位置に大きく目立つ色の目印をつける。 家の段差をなくし、ガラス戸にもぶつからないように、模様などをつける必要があります。 ・着替えができない:失行 [症状]衣服の脱ぎ着ができなくなる。また、ちょっとした道具が使えなくなる。 [介護]従来の日常生活同様、できるだけ自分で着替えるように介助し、生活の習慣や リズムを保つようにする。また、道具を取り上げたりせず、なるべく訓練して使うように 勧めたほうがよい。 ・鏡の中に自分がいる:鏡現象 [症状]鏡に映ったものを実在のものと勘違いしてしまう。初期には、鏡に映った自分を鏡の中や 背後に探すが、症状が進行すると、鏡に向かって話しかけたり、鏡の中の自分を敵視して、 悪口を言ったり殴りかかったりする。さらに痴呆が進むと、鏡の中の自分を無視するようになる。 [対策]割れると危険なので、鏡を患者から遠ざける。また、窓ガラスも同様で、夕刻には カーテンを引くなどして、姿が映らないように工夫する。 ・うろうろ歩きまわる:徘徊・常同行動 [症状]うろうろ歩き回ることを”徘徊”、同じことばかりをすることを”常同行動”といいます。 わき目もふらず同じところを歩き回るなどの行動が、中期にはよくみられます。 さらに痴呆が進むと、終日同じ場所に座り続けたりします。 [介護]徘徊をすべて規制すると、精神的ストレスになるので、ある程度は認め、その後、 他の事に注意を向けるように誘導するのがよいでしょう。 ・ゴミを食べる:食行動・飲水行動異常 [症状]上手に食事が出来ない、ということから始まり、やがて満腹感が感じられず過食になることがある。 悪化するとゴミや糞便さえ食べてしまい、さらに症状が進むと、食事に関心を示さなくなる場合もあります。 また、積極的に水分を取らなくなるので、脱水症状を起こすことがあります。 夏は特に注意して下さい。 [介護]規則正しい食生活を心がけ、過食に注意する。危険なものが口に入らないように注意し、 糞便は速やかに処理してください。食事に無関心でも、口元まで口元まで食物を運べば、 たいていは食べます。また、水分の不足は痴呆症状を悪化させるので、食事や服薬、おやつの時間、 就寝前などに、コップ1杯程度の水分をとるようにします。 ・尿意がないのに失禁する:排泄異常行動 [症状]中期以降では、失禁がよくみられます。尿意がないのに漏れてしまう神経因性膀胱によるものと、 見当識障害のため、トイレの場所がわからなくて漏れてしまうケースがあります。前者は泌尿器科で 残尿量などの検査をすればわかります。 [介護]昼間は適当な時間をみはからってトイレに誘導し、なるべく自力で排泄できるように工夫する。 衣服も排泄が容易なものを身につけるようにします。 ・夜起き出して徘徊する:夜間異常行動 [症状]昼夜が逆転し、夜起き出して、あちこちを徘徊することがあります。 [介護]薬物療法が有効なので、医師に相談してください。昼に起きていることが大切ですが、 年齢や運動量に合った昼寝も必要です。 ・急に性格が変わる:性格変化 [症状]脳の前頭葉が侵されると、極端なわがままや反社会的な行動をとったり、逆に、いつも ニコニコするといった、性格の大きな変化が現れます。末期には何事にも関心を示さなくなり、 名前を呼んでも反応しなくなります。 [介護]人格保持のため一緒に外出したり、集団のレクリエーションに参加するなどの工夫が 大切です。末期でも感情面は残っており、感謝の念を伝えたり、なるべく話しかけるようにします。 ・不安・興奮・焦燥・抑うつ状態 [症状]不安・興奮・焦燥といった陽性的な症状と、意欲の低下・抑うつ状態といった陰性的な 症状に大別できます。 [投薬]陽性的な症状には精神安定剤など、陰性的な症状には抗うつ薬が使われますが、 両方が混在する場合には、向精神薬を使われることもあります。痴呆に伴う精神症状は、 いずれの場合も薬物療法である程度抑えることができます。 |
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